移民が支えるレストランを救え!ミネソタ発・飲食店救済基金に国内外から賛同
America [Minneapolis]
2026.04.16
text by Kuniko Yasutake / photographs by Salt Cure Restaurant Recovery Fund
「ソルトキュア・レストラン・リカバリー基金」は、米国連邦政府の強硬な移民対策により窮地に立たされているレストランの延命サポートと、移民の存在なしには語れない地域の多彩な食文化を守るためにうまれた民間主導の草の根基金。主にSNSやネットを通して寄付金を募っており、より多くの飲食店がアクセスできるよう英語とスペイン語で助成金申請ができる仕組みになっている。基金の名称は、塩で食材の保存性を高める調理法「塩せき(salt cure)」に由来する。
「レストランは『人』でできている」がモットーのステファニー・マーチ氏は、ミネソタ州で活躍するフードジャーナリスト。2026年1月、外食産業関係者有志と共に、移民が働く地元の飲食店を支援する「ソルトキュア・レストラン・リカバリー基金(The Salt Cure Restaurant Recovery Fund)」を立ち上げた。
ミネソタ州の公的資金制度に先んじて、地域の食ビジネスとの連帯から生まれた全米初の試みだ。発足からわずかひと月で120万ドル(約2億円)もの寄付金調達に成功し、州内外のみならず海外からも賛同の声が寄せられている。
背景にあるのは、米国連邦政府によって2025年初めから強化され、年末~26年初めに集中作戦が実施された不法滞在者取り締まり政策だ。表向きには凶悪犯罪を犯した不法移民を国外退去させる方針だったが、拘留された人々の半数以上に前科はなく、合法移民や難民資格申請中の人まで逮捕された事例も含まれていた。
この事態を恐れて外出できなくなる人々が増えると、レストラン業界は大きな混乱に見舞われた。労働力を突然失い、営業継続が困難となり臨時休業や閉店に追い込まれたり、客足が減少し収益が低下した店もある。さらにレストランを取り巻く地域経済や、街の求心力、外食を介して人々が交流し社会との接点を生む文化活動まで脅かされているのだ。外食産業が移民労働に大きく支えられてきた構造が、経営のみならず社会的インフラとして慣習化してきたことが一気に可視化された。非移民の生活もまた、その労働なしには成り立たない関係にある。
本基金の第1期(2026年2月末締め切り)には、400件を超える申請が集まり、申請額の合計は400万ドル(約6億円)に達した。1件につき2,500~10,000ドルに設定された助成金は、給与、家賃、運転資金など用途を限定せず自由に充てることができる。
今後も継続的に寄付募集イベントを開催するだけでなく、助成金受給者にはメンタルヘルスケアのサポートや、有料SNS「サブスタック」を活用したマーケティング支援なども提供される予定だ。
◎The Salt Cure Restaurant Recovery Fund
https://thesaltcurefund.org/
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