野村友里さんに教わる、地球も人も健康にする「オーガニック味噌」の使い方
2026.05.28
【PROMOTION】
text by Sawako Kimijima / photographs by Taro Terasawa
-畑&蔵&キッチンレポート-
2025年、パタゴニア プロビジョンズの自然酒「やまもり」が日本初のリジェネラティブ・オーガニック認証(*)を取得したことは、食品と地球環境との結び付きを改めて気付かせてくれました(文末にリンクあり)。
自然環境の再生に寄与する食品として、パタゴニア プロビジョンズが自然酒同様に力を入れるのが、「オーガニック味噌」です。ソーラーシェアリングの下、不耕起有機栽培で育てられる大豆を使用し、天然醸造で長期熟成によるその味わいはふくよかで円熟味にあふれ、食べ手を魅了します。
生産の現場――リジェネラティブ・オーガニック認証取得を目指す大豆栽培から、蔵付き麴菌と木桶での味噌づくりまで――をレポート。併せて、野村友里さんによる「オーガニック味噌」の使い方・楽しみ方をご紹介します。
*リジェネラティブ・オーガニック認証:土壌を修復し、動物福祉を尊重し、農家の生活を向上させることを目指す、全体論的な最高水準のオーガニック認証。地球環境を健全な状態に回復させるための基準。
目次
- ■自然の営みを尊重する生産者とのつながり
- ■電気と食料、ひとつの場所で両方をつくるソーラーシェアリング
- ■「圃場は内臓」。内臓を露出させない不耕起栽培
- ■木桶による長期熟成がもたらす豊かな風味
- ■塩代わりに。乳製品と合わせて。味噌の多彩な汎用性をフル活用!
自然の営みを尊重する生産者とのつながり
野村友里さんとパタゴニア プロビジョンズには共通の知人が多い。どちらも自然環境に負荷をかけない生産のあり方を探る生産者とのつながりを大切にしているからだろうか。たとえば、「やまもり」の製造元・仁井田本家やパタゴニア プロビジョンズのもうひとつの自然酒「繁土(ハンド)」を製造する寺田本家。2025年12月には「リジェネラティブ・オーガニック自然酒祭」と銘打ちパタゴニア プロビジョンズが主催した「水田稲作文化トークセッション」に野村さんも登壇した。
リジェネラティブ・オーガニックを日々の暮らしに溶け込ませる一手段として、パタゴニア プロビジョンズが送り出す「オーガニック味噌」の製造元マルカワみそとも、野村さんは懇意な間柄だ。「自家採取の麴菌で発酵させている味噌蔵は全国でも希少ですね」と、自然の営みを尊重するマルカワみその仕事ぶりに心を寄せる。
電気と食料、ひとつの場所で両方をつくるソーラーシェアリング
「ソーラーシェアリングの下、不耕起有機栽培で育てられた大豆」と聞いて、畑の景色が思い浮かぶ人はどれくらいいるだろう。大豆畑を目にすることがほぼない(日本の大豆自給率は7%・2014年概算値)上に、「ソーラーシェアリング」「不耕起」となると、正直、その光景を頭に描くのはむずかしい。
というわけで、まずは畑を訪ねるところからスタートしよう。
「オーガニック味噌」の主原料となる大豆の栽培を現在手掛けているのは、千葉県匝瑳市の農業法人、株式会社 匝瑳おひさま畑である。ソーラーシェアリングのトップカンパニー、市民エネルギーちば株式会社(略称「みんエネ」)の100%出資会社で、みんエネの農業部門と言えばいいだろうか。
ソーラーシェアリングとは、営農型太陽光発電とも言われるように、耕作地の上に太陽光パネルを設置して農業生産と発電事業を並行して行なう、つまり、ひとつの場所でエネルギーと食料の両方をつくり出す仕組みだ。みんエネが電気を扱い、匝瑳おひさま畑が耕作を担う、両社の一体的な関係がソーラーシェアリングの性格を物語っている。
「パネルが植物の成長の妨げにならないのか?」との懸念がよぎるが、「その心配はありませんね」とみんエネの宮下朝光(みやした・ともみつ)さんが解説する。「植物の光合成には光飽和点(光合成が頭打ちになる限界点。それ以上の光は余剰エネルギーになる)があって、ソーラーシェアリングは、成長に必要な光を確保できる構造を論理的に突き詰めて生み出された方法なんですね」。
「圃場は内臓」。内臓を露出させない不耕起栽培
不耕起有機栽培に関しては、匝瑳おひさま畑の天久 笑(あめく・えみ)さんの話に耳を傾けよう。
匝瑳おひさま畑は有機JAS認証を持つ。さらにリジェネラティブ・オーガニック認証の取得を目指して、2021年からはパタゴニアと協同で不耕起栽培に取り組んできた。
不耕起栽培とは、文字通り、農地を耕さずに作物を栽培する方法。土壌の攪乱(かくらん)を抑えて、土壌の侵食を防ぎ、炭素を土中に固定する。また、有機栽培と組み合わせることで土中のミミズや微生物の活動を活発にし、土壌の生き物たちや植物の力によって健全な土壌生態系をつくり出す。国内で不耕起有機栽培の栽培技術を探求しようとするパタゴニアが、不耕起栽培の研究者である茨城大学の小松﨑将一教授との共同研究、そして天久さんたちによる現場での試行錯誤を重ねてきた。
「土壌の生物多様性や養分のバランスを維持する基本として、輪作体系をとっています。大麦(イネ科)⇒大豆(マメ科)⇒キカラシ(アブラナ科)⇒ヒマワリ(キク科)を2年のサイクルで回していく。ちなみに、大麦はビール、大豆は味噌の原材料となり、キカラシとヒマワリは緑肥です」
「耕さない」とは「土壌をかき混ぜない上に、さらに裸地にしない」ことであり、他の植物すなわち雑草との共存を意味する。雑草に負けないように育てなければならない。
「大豆の一般的な栽培では、条(種を播く列)と条の間が60~70cmのところ、条間30cmという密植にします。他の植物が育つ面積をできる限り狭くする。加えて、早い段階でこまめに草刈りをして、雑草が伸びる前に大豆を伸ばす。大豆の葉が広がって、雑草に光が当たらないようにするのです」。大豆優位の状態をつくり出すわけだ。
「不耕起の畑は安定している」と天久さんは指摘する。「大雨が降っても土が流出しない。ぬかるまないので、雨の翌日にも播種できる。日照りの年でも大豆の粒が小さくならず、収量が安定している」。気候変動を緩和する農法であると同時に、気候変動の影響を受けにくい側面もあるということだろうか。
「私のイメージでは、圃場は内臓なんです」と天久さん。「耕起栽培は内臓が露出している。不耕起は皮膚で保護されている」。不耕起の本質に触れるような表現に納得しきりである。
木桶による長期熟成がもたらす豊かな風味
匝瑳おひさま畑で栽培された大豆は秋から冬にかけて収穫され、福井県越前市のマルカワみそへ送られて、味噌になる。
マルカワみそ株式会社は1914年創業、9代目の河崎郁子さんが社長を務める。有機味噌に取り組み始めたのは1992年。郁子さんの夫で先代の河崎宏さんが小説『複合汚染』に触発されたのがきっかけだった。2001年には、北陸の味噌業界で第一号となる有機JAS認証を取得した。
ずっと変わらずに続けてきたのが、天然醸造である。今の時代、大手メーカーの味噌は「加温醸造法」(30℃前後で発酵・熟成を促進させる技術。約3カ月ほどの短期間で効率的に生産できる)が一般的と言われるのに対して、マルカワみそは頑なに天然醸造を貫いてきた。加温せず、自然の気温の中で発酵・熟成させること約10カ月。蔵付きの麴菌による発酵や木桶仕込みという点でも、自然の営みと共にある味噌づくりに徹する。
「オーガニック味噌」が濃い茶褐色なのは「熟成期間の長さの証」と専務取締役の河崎紘徳さんが説明する。「大豆の発酵・熟成のメカニズムは、微生物が大豆のタンパク質をアミノ酸に、デンプンを糖に分解することで、旨味や甘味といった味の要素が増えていくというもの。また、アミノ酸と糖が反応して褐色に変化するメイラード反応が起こる。熟成期間が長いほど色も風味も増すんですね」。
塩代わりに。乳製品と合わせて。味噌の多彩な汎用性をフル活用!
野村友里さんは、「生産者と消費者の間に立って、両者の関係を結ぶのが、料理人のひとつの役割」と考えている。食材やレシピを紹介するだけでなく、生産者が歩んできた足跡や哲学まで伝えて初めて、その役割が果たせると考える。だから、生産者を訪ねて、その人となりや生き方、取り巻く環境、仕事の姿勢を感じ取って、料理やレシピにのせていく。それは自ずと、私たちが自然といかに向き合うべきかを伝え、どんな食材の選択が環境の保全につながるのかを指し示す。
野村さんのリジェネラティブ・オーガニックに対する信頼は厚く、「オーガニック味噌」への評価も高いが、「生産者と消費者の間に立って、両者の関係を結ぶ」ことを自らの役割と考える野村さんから見ると、「リジェネラティブ・オーガニックという言葉がもう少し親しみやすい表現になったらいいのにな」との思いも。もっと広めたい、もっと広まってほしいとの願望が強ければこそだ。
味噌はキッチンに常備するもの。常に手元にあって、いつでも使える。「実際、汎用性が高いですよね」と野村さん。「塩代わりに使えるし、料理にコクや深みもプラスしてくれる。そのままディップにしてもいい。胡麻と合わせてみりんや酒で伸ばして味噌だれにすれば、しゃぶしゃぶにも田楽にも。牛乳やチーズとの相性も抜群なので、和のイメージに囚われずに使ってほしいですね」。
今回は、【1】そのままディップとして、【2】ドレッシングや和え衣に、【3】主菜の調味に、の3ステップで料理をご紹介いただいた。
「汎用性を大切にしたいので、あえて分量などの数字の要らない料理にしました。白米味噌を使うのか玄米味噌を使うのかによっても変わるので、ご自身で味を見ながら調整していただければ。合わせ味噌にして使ってもよいですね。ここに挙げた食材に限らず、その時々で手に入る旬の食材で楽しんでください」
【1】そのままディップとして
味噌のディップ
蒸し野菜や焼き野菜に添えるだけで立派な一品に。日本酒やワインの手軽なつまみになり、食材を種類多く取り揃えれば、もてなしにふさわしい装いにも。季節の野菜をお好みで。
【2】ドレッシングや和え衣に
季節のサラダ 味噌ドレッシング
オリーブオイル、酢またはレモン汁、味噌を混ぜ合わせてドレッシングに。ハチミツを少量加えて甘味を持たせてもよし。すりおろしたショウガやニンニクを加えてアクセントを付けてもよし。野菜はお好みで。
ビーツの味噌クリームチーズ和え
味噌とクリームチーズを3:7(味を見ながら調整)の比率で混ぜ合わせ、砕いたナッツ(種類は好みで)を加えて和え衣とする。丸ごとオーブンで焼いた後、皮をむいて一口大に切ったビーツに和える。
【3】主菜の調味に
蒸しキャベツの味噌グラタン
おおぶりにカット(1/6~1/8個くらいのサイズ)したキャベツを耐熱鍋に入れ、味噌大さじ1に対して牛乳100mlの割合で合わせて加える。火にかけて蒸し煮にする。やわらかくなったら、粉チーズをふりかけて、オーブンで焦げ目が付くまで焼く。野菜は、カリフラワー、カブ、タマネギ、ジャガイモ、カボチャなど、蒸し煮にしておいしいものなら何でもよい。
野村さんは「オーガニック味噌」を料理に使う時、様々な思いがめぐるという。いろんな生き物がうごめく土壌で育った大豆が、微生物によって発酵・熟成して味噌になって、手元に届く。
「目に見えないものたちとの向き合い方を考えるようになりました。菌には良い菌もあれば悪い菌もあり、発酵と腐敗の境目は紙一重だったりする。良し悪しを決めつけたり、無暗に排除しないことの大切さを、自然界は教えてくれる。頭を柔軟にしてくれる。それって食べ物に限った話ではなくて、いろんなことにあてはまることですよね」
日常を彩る味わいの先には、とても大きな世界が広がっていて、そこには物事の真理が横たわっているのだと、野村さんの語りは気付かせてくれる。
「オーガニック味噌」玄米・白米 各¥1,280/600g、持ち運べるパッケージ「トゥー・ゴー」玄米・白米 各¥778/200g
玄米は匝瑳市の「SOLFARM 佐藤農園」佐藤真吾さんが有機栽培した粒すけ、白米は兵庫県豊岡市の「坪口農事未来研究所」が「コウノトリ育む農法」で栽培したコシヒカリを使用。塩は内モンゴル・ジランタイの塩湖から採取した天日湖塩。できるだけ削らずに農産物を使うため、今後は玄米に絞る方針で、2026年秋頃には、玄米甘口と玄米辛口の合わせ味噌を2サイズで発売予定。
◎パタゴニア プロビジョンズ「オーガニック味噌」
https://www.patagonia.jp/shop/provisions/organic-miso
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