アペロはLess is moreで 長尾智子さんの「今日も台所」第4回

怪しい世界情勢に円安、物価高、おかしな気候の真っ只中で暮らす私たち。誰でも疲労感のある毎日だから、その中でキラッと輝く「何か」を見つけるのは難しいものとは言え、一日の単位を短く刻んで見てみれば、脱力して息を吐けるような時間の隙間は近くにあるものだ。 春も来たことだし、そんな落し物や探し物のような気分の良いものを見つけ出せないかと、長くお休みしていた「今日の台所」を1字だけ「今日も台所」と改めて始めようと思います。そう、相変わらず今日も台所にいるのです。 すっかり出不精になったのは、誰もが思い当たるようにコロナ禍以降であることは確かで、後で思い返せば、2020年以降の行動範囲がどれだけ狭くなったかに驚くが、内向きに暮らすのは未だ尾を引いていて、今となっては2019年までの取り散らかしたように出かけていた生活など到底出来ないし、したくもなくなった。 東京にいても、びっくりするほどの朝の清々しさや、どこか山の近くにいるのではないかと思うような鳥の声、ひっそりとしているのはマイナスばかりではないから、少し人混みを離れて一人静かに過ごしたい人も随分増えたように見える。一人でいる心穏やかな時間をやっと発見した、大切さに気づいたということか。 私もその一人で、ぼんやりすることが増えてそれも悪いことではないとつくづく思う。

シュタインバイザーの森、再び。生物多様性の回復を図るオランダの2人組の今

今の私たちの「食べ方」を問い直す、実験的ガストロノミーイベントの主催者、ヤオ・ワインスマとマーティン・カリク。気候変動や生物多様性の喪失といった地球規模の課題を「植物に光を当てて」食い止めようとする2人の取り組みを、植物写真作家の熊谷あずさが追う。

そのショコラは、誰かの人生でできている。 ピエール マルコリーニ

「そもそも皆さんは、カカオの“適正価格”をどう捉えているのでしょうか」 2026年1月、東京・外苑前で開かれた会見。来日したベルギーのショコラティエ・ピエール マルコリーニの声のトーンが変わった。記者からのカカオの価格高騰の質問がきっかけだ。 1995年創業。チョコレートを工業的な大量生産から、産地やテロワールを映し出す、職人的なアプローチに押し上げたパイオニアだ。「生産地を訪問することは、チョコレート作りのインスピレーションそのもの」。産地へのまなざしは年を追うごとに熱を帯びる。ツリートゥバー、ビーントゥバーの参入が増えるなか、いまその目にカカオの世界はどう映っているのか。本人に聞いた。

無駄にしない、季節のものを食べる。イタリア料理を無形文化遺産に導いた、あたりまえの哲学 Italy [Torino]

2025年12月10日、イタリア料理がUNESCO(ユネスコ)の無形文化遺産として正式に登録された。イタリア料理雑誌の老舗的存在『ラ・クチーナ・イタリアーナ』が中心となり、マッシモ・ボットゥーラをはじめとする著名シェフたち、各機関が登録実現に奔走したという。

【連載】韓国出身の食のプロは、日本に何を見るのか? 第1回 広尾「HASUO(ハスオ)」

今、日本の飲食業界では、韓国出身の料理人が数多く働いています。「彼らは向上心が高くて、エネルギッシュ。かつてフランスやイタリアで日本人が競って経験を積んだ状況に似ている」と語る星付きレストランのシェフもいます。彼らは日本に何を求め、何を見ているのか? 4回シリーズで追います。