「備えあれば憂いなし」栄養価が高く日持ちする“非常用パン”のレシピ大会開催
Sweden [Stockholm]
2026.08.13
text by Sakiko Jin
非常用パンのレシピ大会でファイナリスト7チームの内の3チームのパン。大会要項の一つは「一つはドライイースト、もう一つは自家培養酵母を使ったもの」だ。中央の4個はベーカリー「バゲリー・アプリル(Bageri April)」の非常用パンで、地元の土壌に合った7種の伝統品種をブレンドした粉「ムンクトルプ」を使っている。photograph by Livsmedelsverket
2004年のスマトラ島沖地震による津波災害をきっかけに、スウェーデンでも様々な防災対策が進められてきた。食料や飲料水の備蓄はその一例だが、近年の気候変動による深刻な被害を受け、プロのパン職人を対象とした「非常用パン(Beredskapsbröd/ベレードスカープスブロード)のレシピ大会」まで開催されている。
国立食糧庁(Livsmedelsverket) とスウェーデン製パン・製菓協会(Sveriges bageri och konditori)が募ったのは、簡単でかつ栄養価が高く、日持ちする非常用パンのレシピだ。
1位に輝いたのはスウェーデン・ナショナル・ベーカリーチーム(Svenska bagarlandslaget)のレシピで、全粒粉と小麦粉を使った湯種製法のパン。多くのファイナリストが取り入れた湯種とは、小麦粉に熱湯を加えて捏ね、そのまま長時間置いて作る。この工程によりでんぷんが糊化して水分を保持し、日持ちがよくなると共に、でんぷんが熱湯によって分解され糖に変わるため、ほんのり甘いパンに仕上がる特徴がある。
ファイナリストのレシピはそれぞれに特徴があり、ジャガイモパウダーやリンゴンベリー、茹でてピュレ状にしたニンジンを使ったものや、ライ麦粉とダークシロップを使ったものなど様々だが、どの材料もスウェーデン内の近場で手に入るものばかりだ。
戦争や疫病、自然災害などの非常時に重要な役割を担うのは地産商品や農作物。さらに国内各地のパン職人や学校給食に携わる調理人の重要さを取り上げることも、この大会の趣旨の一つだ。
同大会は勝ち負けを争うものではなく、非常事態に備えるレシピを全国に普及させることが目的で、非常時の食糧関連の知識を高めることを目指す。
◎Sveriges bageri och konditori(スウェーデン製パン・製菓協会ホームページ)
優勝チームとファイナリストのそれぞれのレシピ(スウェーデン語)
https://bageri.se/tavlingar/beredskapsbrod/#receptberedskapsbrod
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