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RECIPE

酸味は鋭く、旨みは深く。野菜の味が凝縮するきび砂糖の「カポナータ」

これからの砂糖の話をしよう③南イタリア料理人編 東京・白山「シチリア屋」

2026.09.24

【PROMOTION】text by Rieko Seto / photographs by Masahiro Goda

連載:これからの砂糖の話をしよう

低糖が加速するなか、いま、「おいしい」をつくるプロたちは、甘味をどう捉えているのでしょう。サトウキビの風味が生きた、きび砂糖を使うジャンルの異なるプロたちの視点を通じて、これからの甘味のあり方を考えます。

第3回は、東京・白山「シチリア屋」大下竜一さん。シチリアが育んだアグロドルチェな(甘酸っぱい)味わいの名物カポナータを、ウェルネオシュガー「きび砂糖®」でブラッシュアップ。狙うのは、野菜の味を覆うことなく、赤ワインビネガーのもつ尖った酸味と甘味との鋭角的に響かせるバランスです。砂糖の割合、ビネガーを2段階で加える手順、細部までポイントが詰まったひと品です。

目次






東京・白山「シチリア屋」大下竜一
東洋大学哲学科卒業後、「ベリーニカフェ」を経て渡伊。ブレーシアの「ミラモンティ・ラルトロ」(二ツ星)や、フィレンツェのピッツェリアで修業し、帰国。サローネグループのレストランでシェフを務めた後、2012年に再渡伊し、シチリア島ミラッツォの「ラ・ベッキア・クッチーナ」で1年7カ月修業。2014年に帰国し、現店をオープンする。


伝家の宝刀、カポナータ

東京に居ながらにして、人気を集める白山の「シチリア屋」。オーナーシェフの大下竜一さんを魅了したのは、ギリシャやアラブ、ノルマンなどさまざまな民族や文化の影響を受けつつ、柔軟に対応しながら土地から受ける豊かさを表現していった、郷土料理の数々。
「それがシチリア人のアイデンティティかな、と思います」と、大下さんは語る。

シチリアでも17世紀頃まではサトウキビ栽培が行われていたといい、「サトウキビ栽培を伝えたのは、9世紀頃にシチリアを支配したアラブ人たちだそうです。シチリア料理に欠かせない調理法のひとつ、アグロドルチェ(イタリア語で、“甘酸っぱい”の意味)も、その頃からあると言われています」と、大下さん。シチリアの修業先でもそうであったように、自身もこれまで料理やデザートにはグラニュー糖を使ってきたというが、今回はシチリアの歴史にも思いを馳せ、きび砂糖を初めて使用。選んだ料理は、かの地伝統のカポナータだ。

まずは、ウェルネオシュガーの「きび砂糖」の印象を尋ねてみると、「サラサラで粒子が細かいことにびっくりしました。砂糖の溶け残りは焦げにも繋がるので、それがないのは大きなメリット」と、大下さん。「味も黒糖ほど強すぎず、ほどよく風味やコクがあって、味に深みが出る。料理と相性がいいと思います」


きび砂糖で、野菜の旨みを凝縮

それを踏まえて大下さんが考えたのが、きび砂糖を調味料としてカポナータに加える方法。まずは香味野菜をごく少量の水で蒸し、そこへ揚げナスを加える。
「野菜をすべて揚げると食後感が重くなるので、ナスだけ揚げています」。その野菜の自然な風味を邪魔することなく引き出すのが、ニュートラルな甘味を持つグラニュー糖。そこにきび砂糖を4:1の割合で併せることで、まろやかなコクが生まれ、野菜の旨みがぐんとアップする。

ポイントは、野菜と糖の甘さと、赤ワインビネガーの鋭角的な酸味を力強く、高いレベルで均衡させること。
「赤ワインビネガーの鋭角的な酸味に対して、グラニュー糖の甘さも鋭角的でクリア。そのシャープさを残しつつ、コクと旨みを贅沢にもたらす役割を担うのが、きび砂糖という位置づけです。煮詰めて凝縮された野菜の旨みに対して、きび砂糖のコクがプラスに作用して味が深まります」


レモンの前菜に、濃縮した果実感

きび砂糖のポテンシャルを感じた大下さん、カポナータだけでなく、レモンを砂糖、塩、オリーブオイル、シナモンでマリネし、赤タマネギをのせたシチリア屋の定番料理、「レモンとシナモンのサラダ」にも、きび砂糖を加えてみたそう。

「レモンの果実味にコクが加わり、熟成感や濃縮された果実感を感じられて驚きました。余韻が長く感じられたのも印象的。料理人として塩にはこだわってきたにも関わらず、砂糖についてはあまり試してこなかったのは反省すべき点。これを機会に、砂糖にも意識を向けていきたいと思います」と、大下さん。

これまで作り続けてきた料理の味わいをより深め、驚きの変化をもたらすきび砂糖の魅力に、たくさんの発見を得たようだ。

「カポナータ」の材料

【材料(15人分)】 

ナス・・・15本
セロリ(内側のやわらかいところ・ひと口大の乱切り)・・・400g
タマネギ(8等分のくし切り、さらに半分に切る)・・・350g
オリーブ油◇・・・200g
塩漬けケイパー◇◇・・・35g
サルタナレーズン・・・40g
塩(シチリア・モティア島の海塩)・・・20g
グラニュー糖・・・120g
きび砂糖・・・30g

赤ワインビネガー・・・170g(150gと20gを分けて加える)
グリーンオリーブ(種抜き)・・・90g
アーモンド(マルコナ種・半割)・・・60g
トマト(7~8㎜の角切り)・・・110g
オレガノ(ドライ)・・・4g
◇オリーブ油は、シチリア産のビアンコ・リッラなど、野菜に合う比較的マイルドなものを使用。
◇◇ケイパーは、ぬるま湯で2~3回すすぎ、塩を落としてから使用する。

大下竜一シェフの「きび砂糖」の使い方 


「きび砂糖は、甘味だけでなくコクを与え、素材の旨みを深めてくれるのがよいところ。輪郭のくっきりした甘さのグラニュー糖に対し、きび砂糖はやわらかな丸みがあり、味わいの余韻も長く続きます。アグロドルチェでは、両者の持ち味を踏まえ、味のキレは損なわずに、甘味と旨みに厚みを加えるバランスを目指しました」


「カポナータ」の作り方

【1】ナスを塩水に浸す

皮を縦に縞に剥き、横半分に切る。さらに縦に2~3等分に切り、濃度約1%の塩水に一晩漬ける。<POINT>塩水に浸けることで、アクやえぐみを取ると同時に塩味をつけ、旨みをアップさせる。

【2】水気を絞る

手で握って水気をぎゅっと絞り、網にのせる。<POINT>ナスはぎゅっと絞ってから揚げることで中心までしっかり火が通る。

【3】セロリとタマネギを少量の水で蒸す

底の広い鍋にセロリとタマネギを入れ、鍋底全体を覆う程度に水をごく少量加える。ふたをして強火にかける。<POINT>すべての野菜を揚げると食後感が重くなってしまうので、香味野菜はごく少量の水で蒸す。 


沸騰してきたら木べらで混ぜ、全体に水分を行き渡らせる。全体がしっかり沸騰したら中火にし、ふたの隙間から蒸気がしっかり出ている状態を保ちながら加熱を続ける。時折様子を見て焦げ付かないように、必要に応じてへらで混ぜる。

【4】オリーブオイルを加える

タマネギが透明になり、水分がほとんどなくなったら、火を止めてオリーブオイルを加える。さっと火にかけて全体を混ぜ、オリーブオイルと野菜をなじませたのち、火を止めて置いておく。<POINT>この段階では、水分を完全に飛ばしすぎない。

【5】ナスを揚げる

水気を絞ったナスを160℃の油(分量外)で揚げる。中まで火が通ったら、ザルに上げる。引き上げる直前に高温にして、油をよく切る。<POINT>ナスは敢えて焦げ具合のムラをつくり、不均一なおいしさを出す。実が膨らんでくるのが、中まで火が通った目安。冷めるとしぼむ。

【6】調味料を加える

ケイパーとサルタナレーズンを加え、塩、グラニュー糖、きび砂糖で調味する。赤ワインビネガー150gを加える。<POINT> 赤ワインビネガーの酸味と糖の甘さを高いレベルで均衡させ、くっきりした甘酸っぱい味わいを作る。

【7】煮詰める

時折鍋をゆすり、へらで混ぜながら強火で煮詰める。

【8】揚げナスを加える


揚げナスを加え、へらで混ぜながら、さらに煮詰める。

【9】オリーブ、トマトを加える

煮詰まってきたら、グリーンオリーブを半分程度の大きさにちぎりながら加え、アーモンド、トマトを加え、同様にして煮詰める。

【10】煮詰める

 汁けがなくなってきたら中火にし、汁けがほぼなくなるまで煮詰める。

【11】仕上げの赤ワインビネガー、オレガノを加える

水分を飛ばし切ったところで火を止めて、赤ワインビネガー20gを加えて、オレガノを混ぜる。

【12】急冷し、一晩寝かせる

鍋底に氷を当てて急冷する。容器に移し入れ、冷蔵庫で一晩寝かせる。


◎シチリア屋
東京都文京区白山1-5-5 MC白山ビル1F
☎03-5615-8713
18:00~21:00LO
日曜、祝日のみ12:00~13:00LO、17:00~20:30LO
月曜、火曜、木曜休、不定休
都営三田線白山駅A1出口より徒歩6分
https://www.sicilia-ya.com/

◎ウェルネオシュガー
Instagram:@wellneo_sugar
Instagram:@kibizato_40th

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