熱々のオイルで魅惑のソースに「清蒸鮮魚」
ブルーフード・レシピ:「茶馬燕(ちゃーまーえん)」中村秀行さん
2026.10.13
photographs by Hideo Sawai
連載:ブルーフード・レシピ
海に囲まれ、豊かな漁場を有する日本には魚食文化が根付いています。魚を食べるなかで培われ、受け継がれてきた知恵や知識を継承し、上手に食べることは、多様性豊かな海の保全につながります。日本周辺でとれる水産物(ブルーフード*)の魅力を再発見するレシピを人気店のシェフに教わります。今回は、香港名物「清蒸鮮魚(チェンチェンシンユウ)」です。
*ブルーフードとは、淡水・海洋環境に由来する植物、動物、藻類など水生生物性食品のこと。食料危機や気候変動などの課題に対応し、健康的で持続可能な食料システム構築への貢献が期待されている。
**日本の海面漁業の漁獲量ランキング(漁獲量/前年比)【農林水産省:令和5年漁業・養殖業生産統計】
全体(282万3,400t/-4.3%):1位マイワシ(68万900t/+6.1%)、2位ホタテガイ(33万600t/-2.8%)、3位サバ類(26万1,100t/-18.3%)、4位カツオ(15万2,600t/-20.0%)、5位スケトウダラ(12万2,900t/-23.4%)、6位カタクチイワシ(11万4,000t/-7.3%)、7位マアジ(9万2,000t/-7.0%)、8位ブリ類(8万1,000t/-12.9%)、9位サケ類(6万t/-31.8%)、10位マダラ(5万4,000t/-6.9%)
目次
教えてくれた人:神奈川・藤沢「茶馬燕」中村秀行さん
日本国内の中国料理店で修業を積んだのち、半年かけてアジア各地を食べ歩いて研究を重ね、2009年に「茶馬燕」をオープン。
熱々のオイルとソースが食欲にスイッチを入れる
一尾丸ごとの魚を蒸籠で蒸して、熱々のオイルとソースで仕上げる香港名物の「清蒸鮮魚」。
火を通すとは言え、この料理は魚の鮮度も大切。今回はキンメダイだが、ムツやメヌケ、メバル、ハタなどでもおいしくできるので、鮮度優先で選びたい。
理想の火入れは「身の部分はギリギリ熱が入っていて箸でホロリと崩れるが、中骨は生の状態。100℃で蒸し続けるより、蓋を少しずらして90℃で蒸すと身がしっとり蒸し上がります」と中村シェフ。
スチームコンベクションオーブンの場合は、庫内温度を90℃に設定し、魚の一番身の厚い頭付近の中骨に芯温計を当て、80~85℃に設定するとよい。
「ただし、芯温計が蒸している最中にずれる可能性もあるので、魚の大きさによる蒸し時間の目安も判断材料にすることが大事。魚が600gなら、蒸し時間は9~11分が目安です」
ソースは、「日本の醤油ではなかなかこの味は生まれない」ということで、シェフのおすすめブランドを参考にしたい。そうすると香港の味がピタリと決まりやすくなる。
「最後に残ったソースでご飯を食べると最高ですよ」
「清蒸鮮魚」の材料と作り方
[材料](作りやすい分量)
キンメダイ・・・1尾(600g)
長ネギ・・・1本
ショウガ・・・1片
中国醤油・・・50ml
シーズニングソース・・・25g
砂糖・・・11g
水・・・55g
紹興酒・・・適量
ピーナッツ油・・・大さじ2
塩・・・適量
香菜・・・適量
左が「珠江橋牌」の生抽王。中国では淡口醤油に相当する。もう一つ欠かせない調味料が右のタイの「ゴールデンマウンテン」のシーズニングソース。
[作り方]
[1]魚の下処理
ウロコをきれいに取り除いて水洗いする。包丁で腹を開いて内臓を取り出し、エラブタの中にハサミを入れ、エラと残りの内臓をすべて取り出す。
[2]魚に塩をする
バットにキッチンペーパーを敷き、塩を全体に振ってから魚を置き、魚の表面にも塩をする。キッチンペーパーで覆って15分置き、臭みを取る。
[3]白髪ネギの準備
長ネギは5、6cm長さにカットしたら1枚ずつ外側から剥がして、白髪ネギにする。ネギをザルに入れ、流水で揉み洗いする。ザルの中でこんもりとさせて、自然に水を切る。【POINT】辛みが取れるだけでなく、見た目も美しくなる。
[4]ショウガとネギの下準備
ショウガは皮付きのまま大きな薄切りにして、包丁の腹で叩く。ネギの青いところも包丁の腹で叩く。
[5]ソースを作る
ソースを作る。中華鍋に中国醤油、シーズニングソース、砂糖、水、香菜(水洗いした根の部分でもよい)を入れて、砂糖が溶けるまで熱する。
[6]魚の表面に包丁を入れる
魚の表面に2カ所包丁を入れる。包丁が骨に当たるまで斜めに入れたら、少し上に上げて火が入りやすくする。
[7]皿にスタンバイする
皿の中央にショウガ、左右の端にネギの青いところを置き、その上に魚をのせる。紹興酒をふりかける。
[8]蒸す
よく湯気の上がった蒸し器に入れて蓋をし、強火で1分蒸して、蒸し器内の温度を100℃に戻した後、蓋をほんの少しだけずらし、蒸し器内の温度を約90℃にして蒸す。身の厚いところに竹串を刺して、串が温まっていたら火の通った合図。【POINT】今回は魚が600gなので、9~11分が目安。
[9]皿の水分を捨てる
皿にたまった水分と下に置いたネギとショウガは捨てる。魚に白髪ネギをこんもりとのせる。
[10]油を熱する
中華鍋でピーナッツ油を熱し、鍋から煙が上がったら一呼吸おいて火から外す。【POINT】ピーナッツ油はサラダ油でも代用可。熱する温度が低いと料理が油っぽくなり、高すぎると嫌なにおいが出てくるので気をつける。
[11]ネギを中心に油をかける
魚に熱したピーナッツ油をかける。油は白髪ネギを中心にかけ、ネギの香りを引き立たせるとよい。
[12]ソースをかける
ソースを温め、魚全体にかける。ソースは白髪ネギの白がきれいに残るようネギには控えめにかけるとよい。
[13]完成
香菜をネギの上にのせる。
(雑誌『料理通信』2017年1月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)
神奈川・藤沢「茶馬燕」の店舗情報
◎茶馬燕
神奈川県藤沢市南藤沢20-15
第一興産18号館6F
☎0466-27-7824
12:00~13:15(最終入店) ※平日のランチは予約のみ
17:00~20:00(最終入店)
水曜、日曜夜休、その他不定休あり
JR、小田急線藤沢駅より徒歩3分
https://www.cha-ma-en.com/
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
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