フレンチやラーメンの技を融合 ベトナム初のミシュランシェフが挑むフォーの再構築
Vietnam [Ho Chi Minh City]
2026.04.23
text by Rie Suzuki
テイスティングメニューから「フォー・ボー」。「フォーの真髄はスープにあり」と言うとおり、スープは2日間かけて作る。1日目は肉と骨で牛骨スープを作り、2日目はコンソメの要領で卵白と赤身肉とスパイスを混ぜ合わせ、風味豊かな澄んだスープに仕上げる。トッピングにはA5ランクのレアの和牛サーロイン、アンガス牛テンダーロインのタルタル、牛肉のブイヨンで低温調理した牛モツなどをのせ、様々な風味と食感で楽しませる。photograph by Pot Au Phở 2.0
ベトナム初のミシュラン掲載店として知られる「アナン・サイゴン(Anan Saigon)」のオーナーシェフ、ピーター・クオン・フランクリン(Peter Cường Franklin)が、2025年12月、フォーレストラン「ポ・ト・フォー(Pot Au Phở)2.0」をオープンした。ベトナムのソウルフードであるフォーを再解釈し、新たな高みへと引き上げたいという、約10年にわたる探求の集大成である。
中部ダラット出身のベトナム系アメリカ人シェフであるピーターは、アナン・サイゴンでストリートフードとファインダイニングを融合させ、ベトナム料理の可能性を世界に示してきた。2026年「アジアのベストレストラン50」では86位にランクインし、ベトナムのレストランとして唯一トップ100入りを果たしている。
南北に長いベトナムでは、地域ごとに食文化が大きく異なる。フォーも例外ではなく、北部ハノイでは、牛骨を長時間煮込んだ澄んだスープが特徴で、香辛料は控えめ。素材の旨みを引き出した繊細でバランスのよい味わいに仕上げる。一方、南部ホーチミンでは、八角やシナモンを効かせた甘味とコクのあるスープに、バジルやもやし、ライム、唐辛子など多彩な具材を加え、自由に味を調整するスタイルが主流だ。
ポ・ト・フォー 2.0では、北部のエレガントな繊細さと南部の力強い味わいを融合。さらにフランス料理の技法で仕立てた澄んだコンソメスープや、日本のラーメンの作り方を応用することで、フォーをより複雑で奥行きのある一皿へと昇華させている。
ベトナム出身というルーツを軸に、伝統料理を現代的に再構築するピーター・フランクリン。今後ベトナムの料理をどのように進化させていくのか、その動向から目が離せない。
◎Pot Au Phở 2.0
91 Ton That Dam, Ho Chi Minh City, Vietnam 710000
コースは「キャビア・エッグ・フォー」「モレキュラー・フォー」「フォー・タルタル・タルト」など全11皿、350万VND(ワインペアリングは+250万VND)
オリジナルカクテルやワインペアリング付きのテイスティングメニューも展開
https://helloanan.my.canva.site/pot-au-pho-2-0
*1ベトナムドン=0.0061円(2026年4月時点)
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