地球温暖化でオリーブ栽培がドイツで始まる? 3年後の収穫を目指す老舗ワイナリー
Germany [Berlin]
2026.07.16
text by Hideko Kawachi / photographs by Weingut Puder
近年気候変動で気温が上がり熱波や干ばつの被害も見られるプファルツ地方と、バーデン地方。
気候変動でワイン用ブドウ栽培地の北限が北上しているという話はよく耳にする。しかし地中海沿岸が主要産地のオリーブまでが、ドイツで栽培が始まっているとは!? これまでアルプス以北では育たないと言われてきたオリーブだが、その状況も温暖化の影響で変わってきているようだ。
オリーブ栽培が始まっているのは、ドイツ南西部。ドイツの中でも日照時間が長く温暖なことで知られ、古くから果樹園やワイナリーが多く集まっている地方だ。温暖化を見込んでオリーブ栽培を試みるワイン生産者がちらほらと現れ、農業技術センターでもオリーブ栽培の可能性が調査されているという。
ドイツで2番目に大きいワイン産地プファルツ(Pfalz)のクリストフ・プーダーさんもその1人。8代続くワイン農家を継いだ彼だが、樽ワインの価格はここ15年間低迷し続けているのに、賃金などの経費は増えるばかり。プーダーさんは将来を考えて、ワイン生産と並行してオーガニックのオリーブ栽培に乗り出すことを決めたのだという。
「ブドウ収穫機がオリーブの収穫にも利用可能だと知って、これだと思いました」
ワイン生産では年間30日ほどしか使わない機械を活用できる。ポルトガルにオリーブ栽培を見学に行ったというプーダーさんは、収穫機を正常に作動させるためには、木をまっすぐ育てることが重要だと学んだそうだ。
その後、スペインに6種類、約900本のオリーブの木を注文し、2026年夏から植樹を始めていくという。まずはブドウ畑の隣の約0.5ヘクタールの敷地を使っての実験だ。プーダーさんのブドウ畑があるツェーラータール渓谷は、年間平均気温は11℃前後と暖かく、降水量も少ない。近年は温暖化の影響で土壌の乾燥化が進んでいて、オリーブ栽培には適している。問題は冬だ。零下の気温が続くと、オリーブの木は枯れてしまう。「ここ数年はそこまで寒くはない」と、プーダーさんは前向きだ。
この土地のワインの味を特徴づける石灰質の土壌が、オリーブ栽培にどのような影響を与えるか。結果が出るのは、3年後。ドイツ産のオリーブオイルが手に入るのも、遠い未来ではない。
◎Weingut Puder GbR
https://www.puder-wein.de/