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JOURNAL / 世界の食トレンド

三ツ星シェフが集団調理に革命をおこすメソッドを確立。イタリア初の学校給食プロジェクト

Italy [Abruzzo]

2026.03.18

三ツ星シェフが集団調理に革命をおこすメソッドを確立。イタリア初の学校給食プロジェクト

text by Mika Hisatani
学校給食プロジェクト「#iomangioascuola」によって、アブルッツォ州は学校給食における国家的イノベーションの実験場となる。トップレストランと同等の配慮と精度が、子どもたちの給食にもたらされ、味・健康・科学研究が一体となる――マルシリオ知事(右から4番目)とスポジリ州議会議長(左端)は。その意義を強調した。

2026年1月19日、アブルッツォ州は学校給食のあり方を根本から改革するプロジェクト「#iomangioascuola(私は学校で食べる)」を正式に発表した。同州出身の三ツ星シェフ、ニコ・ロミート率いる「アカデミア・ニコ・ロミート(ACCADEMIA NIKO ROMITO)」と州の保健局(ASL)、アブルッツォ州大学地域委員会(CCRUA)が連携し、食のイノベーションとテクノロジーを駆使した学校給食プログラムである。シェフ、ニコ・ロミートの長年の研究と実践から生まれた調理プロセスから1冊のマニュアルとして体系化、イタリア初の一流シェフが試みる学校教育である。

「おいしいものは、必ず健康的であるべきです。そのために大切なのは、味を強めるのではなく、引き算とバランスで引き出すこと。調味料や脂の過剰使用、食材の風味を損なう強い加熱は避けます。出来上がった料理は従来のものより軽く、それでいて風味は豊かです」とロミート氏。

記者会見で州知事マルコ・マルシリオ氏は「これは単なるグルメ献立集ではなく、地域に根ざし、子どもたちの健康と味覚の未来を見据えた、実践的で改革的なプロジェクトである」と述べた。農業大臣フランチェスコ・ロッロブリジーダ氏もビデオで参加し、「ロミート氏との継続的な対話を通じ、栄養と社会全体のウェルビーイングに資するプロジェクトを支援・発展させていく」とコメントした。

ロミート氏
「食は、私たちが最初に身につける言語であり、とても強力な教育ツールです」と話すロミート氏。「給食は単なる食事提供サービスではない。教室となり得るし、そうあるべきなのです」。
給食の現場イメージ
大学や保健局とともに、給食の持続可能性、食の質、調理・提供技術の抜本的な改革を目指して開発されたのが、ニコ・ロミート・メソッド(MNR)だ。研究と実証を重ね、3年の歳月を経て、いよいよ実践に移されることとなった。photograph by Andrea Sytraccini

ニコ・ロミート・メソッド(MNR)は、減圧調理、制御蒸気、野菜の塩水処理など最新技術を活用し、食材の特性と栄養価を最大限に引き出すという。従来の調理法と比べ、RAP値(抗酸化/酸化促進比)が高く、ビタミンや抗酸化物質の保持に優れ、有害物質の生成も大幅に抑えられることが示された。ラクイラ、テラモ、キエーティ=ペスカーラの各大学による検証により、人体へのポジティブな影響も確認されている。

ロミート氏
「軽やかでありながら満足感のある料理をつくるには、食材一つひとつの適切な“変換”が不可欠です。原材料の質だけでは十分ではありません」

さらに、このメソッドは調理や配膳における物流の最適化やサステナビリティの向上につなげるところまで研究されている。同じアプローチは、学校給食だけでなく、病院給食など栄養が重要な他の集団食の現場にも応用可能で、将来的には全国的なモデルケースとなることも視野に入れているという。

イタリアを代表するシェフと自治体が手を組み、地域の未来を食の力で形作る。未来は皿の上にある。


ACCADEMIA NIKO ROMITO
https://www.accademianikoromito.it/

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