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JOURNAL / 世界の食トレンド

醸造家と発酵の専門家がコラボ。コンブチャで造る低アルコールワイン

Italy [Verona]

2025.11.27

醸造家と発酵の専門家がコラボ。コンブチャで造る低アルコールワイン

text by Sayama Miyamoto
「コンビーネ」(参考価格15ユーロ/750ml)。今のところイタリア国内のみの販売だが、日本をはじめとする海外進出も計画中。アルコール度数は1%未満、残留糖度は1リットルにつき20g。参考までに、EUの規定ではスパークリングワインの残留糖度12〜17g/Lがエクストラ・ドライ、17〜32g/Lがドライとされている。

イタリアではこれまで、アルコール度数8.5%未満の低アルコール/ノンアルコールワインを、「VINO(ヴィーノ:ワイン)」と呼ぶことが許されていなかった。だが世界的な脱アルコール化の流れ、健康志向ブームなどによる需要の高まりに押されて行われた法改正により、2025年から低アルコール/ノンアルコールワインも、晴れてVINOと呼べることになった。それに伴って製造に着手する企業も増え、競争が激化。その結果クオリティも高まり、もはや“ノンアルワイン=おいしくない”という時代は終わりつつあると言われている。

だがヴェローナの醸造家、アンドレア・モーザーさんは、「ワインを造るためにエネルギーを浪費し、アルコールを生成し、さらに別のエネルギーを浪費してそのアルコールを除去する。それってエネルギーの無駄使いで、持続可能性がないし、健康的じゃない」と考えた。

そんな彼と発酵の専門家エットレ・ラヴィッツァ氏のコラボレーションによって誕生したのが「コンビーネ:Komb(w)ine」だ。欧米の健康志向の人たちからコンブチャ(KOMBUCHA)として人気を博し、日本では別名「紅茶キノコ」としても知られる発酵飲料コンブチャの製法を使って発酵させた、ノンアルコールワインだ。

醸造家のアンドレア・モーザーさん(左)と、「チーム・コンビーネ」のPR担当、アンナ・ブランドーニさん。
醸造家のアンドレア・モーザーさん(左)と、「チーム・コンビーネ」のPR担当、アンナ・ブランドーニさん。

モスカート種のブドウ果汁と茶、砂糖、ハーブを合わせた原液を、酵母と細菌の共生培養(スコビー)によって自然発酵させて造る。よく冷やして、というアドバイス通りに飲んでみると、モスカートの特徴がハーブによって控えめに抑えられていて、すっきりと飲みやすい。微発泡でほんのりと甘味を感じるが、食事にも合いそうだ。アルコール度数が限りなくゼロに近いというだけでなく、コンブチャ同様、乳酸菌などの善玉菌(プロバイオティクス)と善玉菌の餌となるオリゴ糖や食物繊維(プレバイオティクス)が含まれ、身体にいい機能までついてくるというおいしさだ。

醸造担当のスタッフ
コンブチャの素になるスコビー(種菌)は発酵の良し悪し、味が決まる大事なもの。もともとコンブチャや発酵食品を作っていたエットレさんの宝を大切に繋いでいる醸造担当のスタッフ。

現在のラインナップは、モスカートベースの微発泡白1種類のみだが、原料となるブドウ品種を変え、茶葉やスパイスをセレクトすることで、違う味わいのワインも造り出せるという。近々、白のスティルとロゼの発売が予定されている。

アンドレアさん
アンドレアさんおすすめの組み合わせは、チキンやポークなどの白い肉や、野菜ベースのプリモピアット、魚介類や甲殻類のグリルやオーブン焼きなど。カクテルやフルーツのスムージーなどに加えても。

Komb(w)ine
https://www.kombwine.it

*1ユーロ=176円(2025年11月時点)

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