HOME 〉

JOURNAL / 世界の食トレンド

スペインにピスタチオブーム到来。“欧州発”の安心ブランドで世界一を目指す

Spain [Madrid]

2026.07.30

スペインにピスタチオブーム到来。“欧州発”の安心ブランドで世界一を目指す

text by Yuki Kobayashi
マドリード「ピスタチェリア」にて。購入したピスタチオを店員にその場でペーストにしてもらう。フレッシュなペーストの香り高さがくせになる。

欧州有数の農産物輸出国であるスペイン。国内の農業関連見本市などでは「オリーブ、ブドウの耕作面積が世界一」という言葉をよく耳にするが、近年のピスタチオ栽培の増加にも目を瞠るものがある。

ピスタチオブームは、2024年頃にSNSで話題を呼んだドバイ発のピスタチオクリーム入りチョコバーに起因していると言われるが、以来スペインではデザートや料理でも人気の素材に。需要増に比例して国内では生産が倍増し、8年前に比べると栽培面積は8倍、2025年には新たに耕作地が6000ヘクタール増と、この傾向は留まることを知らない。ことにカスティーリャ・ラ・マンチャ州での耕作面積は国内最大で、7万ヘクタール近い。同州のエル・チャパリージョ(El chaparrillo)と呼ばれる農業関連公的研究機関では、ピスタチオの品種研究開発も進んでいる。

完熟直前のピスタチオ
完熟直前のピスタチオ。赤みがかった黄色の果皮をかぶる。
4月の開花期には自然受粉を促すためにドローンの使用も。
4月の開花期には自然受粉を促すためにドローンの使用も。

これまでのピスタチオ生産大国といえば、米国、イラン、トルコ、中国などが有力だったが、昨今の政情不安や関税の引き上げから、こうした原産国からの輸出が今まで通りにいかないという背景もある。スペインでの生産量が増えれば、“欧州発”という安心ブランドを、マーケティングにも大いに利用できるだろう。同州内では生産者組合や加工業者組合が続々組織され、地域ぐるみでの発展を支えるエコシステムができつつある。

マドリードには、ファーム・トゥ・テーブルをコンセプトにトレドの生産加工業者によるピスタチオ専門店「ピスタチェリア(Pistacheria Madrid)」が登場した。店の目玉は“イベリア半島産100%ピスタチオ”と銘打ったピスタチオクリーム。マシーンにピスタチオを投入すれば、粉砕し、実自身から出るオイルで自然にクリーム状になって出てくる。砂糖も添加物も余計なオイルも含まない、100%純粋なピスタチオクリームが購入できるのだ。

2027年には世界のピスタチオ関連業者を集めた「第1回ワールド・ピスタチオ・コングレス」がトレドで開催予定。現在生産量世界4位のポジションから、一気に“ピスタチオ世界一”を目指す勢いだ。

ピスタチェリアの製品
ピスタチェリアでは「ペスト・デ・ピスタチオ」(ピスタチオ60%、ひまわり油、塩、コショウ:2,20ユーロ)や「ドゥルセ・デ・ピスタチオ」(ピスタチオクリーム40%、植物油、砂糖:17.77ユーロ)、ペスト・デ・ピスタチオに乾燥チェリートマトを加えた商品(4,95ユーロ)など、サイズもタイプも豊富に揃えている。
マドリード市内アントンマルティン市場での実店舗
マドリード市内アントンマルティン市場での実店舗の他に、ネット販売もしている。海外からの注文はWhatsAppにて直接工場とやりとりすることで可能。

Pistacheria Madrid
Mercado Antón Martín
C/ Santa Isabel, 5
28012, Madrid, España
☎+34-91-528-0102
https://www.lapistacheriamadrid.es/

*1ユーロ=185円(2026年7月時点)

料理通信メールマガジン(無料)に登録しませんか?

食のプロや愛好家が求める国内外の食の世界の動き、プロの名作レシピ、スペシャルなイベント情報などをお届けします。