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JOURNAL / 世界の食トレンド

温故知新!生産者と住民がダイレクトに繋がる産直マーケットが急増中

Italy [Firenze]

2026.02.05

温故知新!生産者と住民がダイレクトに繋がる産直マーケットが急増中

text by Manami Ikeda
フィレンツェの旧市街を出てすぐの旧製紙工場跡を利用したマーケット。オープンしてまもなく近隣住民の憩いの買い物スポットになった。

中世の昔、街は城壁によって守られ、城門を通してのみ外界にアクセスできた。そんな街の構造が今に残るフィレンツェでは、いくつかの城門が古の佇まいを保っている。

その一つ、サン・フレディアーノ門のすぐ近くに新しく屋内市場が誕生した。経営するのは、コルディレッティ(イタリア専業農家連盟)の傘下財団「カンパーニャ・アミーカ(親しき田舎)」。イタリア最大の農業人団体が2008年に設立した、農業を軸とする伝統と環境の保全、経済発展を目指す組織である。

「サン・フレディアーノ屋内市場」と名付けられたそこは、かつての製紙工場跡を改造した1000平米超のスペースで、フィレンツェ近郊の50あまりの生産者が出店。青果、肉、肉加工品、乳製品、オリーブ油、ハチミツやジャムなどの保存食、ワイン、クラフトビールまで揃う。イートインのためのスペースが随所に散らばり、ランチタイムには食堂もオープン、エノテカではグラスワインが楽しめる。

旧製紙工場跡を利用したマーケット
マーケットは奥に長く、中庭もあり、自然光がたっぷり入る気持ちのいい空間。
ランチタイムにオープンするキッチンコーナー
ランチタイムにオープンするキッチンコーナー。マーケット内のテーブルでイートインはもちろん、テイクアウトも可能。

観光地化がますます進むフィレンツェでは、住民が街を離れ、個人商店もそれに伴ってどんどん消失している。中央市場では旅行者向けの土産物店やストリートフードの店が増殖し、生活者は食材をスーパーマーケットに頼るほかなくなりつつある。そんな状況においてカンパーニャ・アミーカのマーケットでは、農家が街に来て住民に直接収穫物を売っていたかつての日常を取り戻すことで、農家との連帯感が生まれ、自らが生活する土地の良さを実感することになる。生産者の顔が見えると食材廃棄をためらうようになるし、多少キズのある野菜でも味には信頼がおけるようになる。

カンパーニャ・アミーカはこうした常設の産直マーケットをイタリア各地に展開し、現在80カ所近くまで増えている。仮設のマーケットを含めると1000以上に上り、組織的な産直マーケットとしてはヨーロッパ最大規模である。イタリア発持続可能な地元密着型農業の成功例として世界から注目を集める日も近いだろう。

近隣の小さなメーカーによる直売
ポルケッタや生ハム、サラミなども近隣の小さなメーカーによる直売。ハム・サラミはトスカーナ内陸山間部の特産。熟成の進んだ凝縮した味わいが特徴。
オリーブの搾油実演
秋の初めには新オイルのイベントも開催。農園から朝運んできたオリーブの搾油実演。
卵の鮮度は保証されている
卵はスーパーで買うよりもずっと高いが、鮮度は保証されている。
エントランス
エントランスはかつての製紙工場の雰囲気を少し残している。あまりお金がかかっていないところにも好感が持てる。

Mercato Coperto San Frediano
Via Pisana, 15r Firenze
8:30〜14:00 
月曜、火曜、木曜、日曜休
https://www.campagnamica.it

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