身近な野菜や植物で作る“和製ハーブティー”「野菜茶」
【DIYレシピ】「七草」前沢リカさん
2025.07.03

photographs by Hide Urabe
連載:DIYレシピ
塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。今回は、ひと干し、ひと煎じで、香ばしさと素朴な甘味を楽しめる「野菜茶」です。
目次
- ■教えてくれた人:東京・駒場東大前「七草」前沢リカさん
- ■干して、煎る。素材は変われど手順は同じ
- ■野菜茶の極意
- ■「ひげ茶」材料と作り方
- ■「ゴボウ茶」材料と作り方
- ■応用編:柿の葉、ドクダミ、熊笹でも
- ■東京・駒場東大前「七草」の店舗情報
教えてくれた人:東京・駒場東大前「七草」前沢リカさん

旬の野菜と乾物が主役の和食を提供する「七草」店主。茨城県出身。2003年下北沢に「七草」開店。17年4月、現在地に移転。料理教室、雑誌等へのレシピ提供なども手掛ける。
干して、煎る。素材は変われど手順は同じ
庭の花壇や道端の野の花、街路樹に。里山に入れば山野草に。身近な草木は季節の巡りを教えてくれます。花器に生ければ目で楽しめますが、ひと干しし、お茶にすれば、違った楽しみ方が生まれます。
野草だけでなく、野菜の皮や根でもできます。これなら初めてでも挑戦しやすいですよね。秋口ならトウモロコシのひげ、初冬ならゴボウなどが、香りや甘味がのってきます。
洗い、ザルにあげてひと干し。晴れていれば1日で、曇りなら2日もすれば乾きます。洗濯物と同じでしょ(笑)。空煎りしてから急須に入れ、緑茶葉よりも長めの時間(3~4分程度)煮出すと完成です。
何種類かをブレンドする方がおすすめ。ひげ茶ならミントなどのハーブ、ゴボウ茶なら蕎麦の実や煎り米など香ばしい穀類が合います。
野草なら、初春ならセリ、春にはヨモギや熊笹。初夏は柿の葉、ドクダミ、夏ならビワの葉、イチョウ・・・そう、山に入らなくても、実は街中ですぐ見つけられるものがほとんど。入手はそんなに難しくないんですよ。ただ、若葉を使って。柿の葉やビワの葉、ドクダミは、夏を越える前に作りましょう。
素材が変われど手順は同じ。ほのかな甘味や香ばしさに加え、酸味や清涼感も。「和製ハーブティー」ですね。ぜひ、いろいろな葉や根、野菜で試してみてください。
野菜茶の極意
1.干し時間は洗濯物の渇き具合を目安に。ほぼ同じ時間で干し上がる。
2.様々な野菜や野草で作れるが、旬の素材を使うこと。雑味が少ない。
3.数種類をブレンドしても美味。清涼×甘い、香ばしい×苦い、など組み合わせを考えて。
「ひげ茶」材料と作り方
[材料](約4~5杯分)
トウモロコシのひげ・・・4~5本分
[作り方]
[1]ひげを取る

トウモロコシは皮を剥き、毛先の茶色い部分をカットしてからひげを取る。
[2]カットして日なたに干す

4~5cm長さにハサミでカットしてからザルで干す。晴天時は半日、雨天&曇天時は2日ほどで仕上がる。
[3]干し上がり

パリパリとし、赤味がかったら完成。
[4]煎る

フライパンで、手で細かく崩しながら空煎りする。
[5]淹れる
ひげを急須に入れて熱湯を注ぎ、3~4分待つ。
[展開例]
ミント(生・乾燥)、ローズマリー(生・乾燥)、市販のミックスハーブティーとブレンド

ひげ茶×ミント茶
トウモロコシの甘く香ばしい香りにミントの清涼感が加わって、どこか異国情緒を感じさせる味わいに。
「ゴボウ茶」材料と作り方
[材料](約15杯分)
ゴボウ・・・1本(約25㎝分)
[作り方]
[1]笹がきにする

ゴボウはたわしで軽く皮をこすり取り、ピーラーで笹がきにする。【POINT】アクは取らずそのままでOK。
[2]日なたに干す

ざるに広げ、風通しと日当たりのよい場所に干す。
[3]干し上がり

晴天時は1日、曇りや湿気の多い日は2日ほどで完成。洗濯物が乾くのとほぼ同じ時間で干し上がる。
[4]煎る

フライパンで、香ばしい香りが立つまで空煎りする。
[5]淹れる
ゴボウを急須に入れて熱湯を注ぎ、3~4分待つ。
[展開例]
煎り米、市販の蕎麦茶やはと麦茶とブレンド

ゴボウ茶×蕎麦茶
ゴボウらしい香りと旨味に、蕎麦の実の香ばしさや甘味が加わり、ほっとする味わいに。ゴボウは淹れ過ぎると“スープ”になるので注意を。
応用編:柿の葉、ドクダミ、熊笹でも

柿の若葉で作ると、ほのかな酸味で爽やか。ドクダミは甘い香り。熊笹は緑茶に近く甘味もある。必ず若葉を使うこと。旬の時期に作って密閉容器に入れてほけば、1年間保存がきく。

東京・駒場東大前「七草」の店舗情報
◎七草
東京都渋谷区富ヶ谷2-22-5
☎03-3460-7793
17:00~22:00(20:00 最終入店)
日曜、月曜、第2火曜休 要予約
京王線駒場東大前駅より徒歩8分
https://www.nana-kusa.net/
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
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