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JOURNAL / 世界の食トレンド

いずれはインドで抹茶栽培も。
IT業界出身の日本人オーナーが挑む日本茶カフェ

India [Bengaluru]

2026.03.26

いずれはインドで抹茶栽培も。IT業界出身の日本人オーナーが挑む日本茶カフェ

text by Akemi Yoshii
「テカ」で人気があるのは抹茶やほうじ茶などベースにしたアレンジドリンク。大福、どら焼き、抹茶パウンドケーキ、抹茶クッキーなどの和風スイーツも提供する。

健康食品として、またSNS映えする鮮やかな色で世界的なブームになっている抹茶は、チャイの国インドでも確実に存在感を強めている。国内の抹茶市場は年率約10%で成長するという予測だ*。

インド各地で抹茶ラテを提供するカフェが増えているが、2025年12月、IT都市バンガロールに日本人が経営する本格日本茶カフェ「テカ(TEKA/茶香)」がオープンし、注目を集めている。オーナーは長崎県出身の長橋陽香さん。筑波大学を卒業後、米国でMBAを取得、日本・シンガポール・米国のIT業界で経験を積み、2024年8月、元同僚の誘いでインドに渡った。当初は日系企業向けサービスを展開するIT企業に勤務していたが、「地元の人々ともっとダイレクトに関わりたい」という思いから、半年後にカフェ開業を決意する。

「お茶に詳しかったわけではなく、実はビジネスありきで抹茶の世界を知りました」と率直に語る長橋さん。市場トレンド、成長性、自分の関心という複数のパラメーターを分析し、抹茶を軸に日本文化を伝えるカフェを選んだ。店舗はバンガロール中心部インディラナガルの住宅街。インドでは珍しいミニマルな内装が特徴だ。

店内では浮世絵の展示・販売も
店内では浮世絵の展示・販売も。日本企業向けに、インド進出のコンサルティングやテストマーケティング支援も手がける。

メニューには故郷長崎産の抹茶と京都・宇治産の抹茶をブレンドした抹茶ラテ、佐賀・嬉野産のほうじ茶ラテなどが並ぶ。生産者と直接つながり、抹茶産地の特徴を分析、ブレンド比率も試行錯誤の末に確立した。さらに、市内の若者を中心に、多くのフィードバックを得てラインナップを絞り込んだ。客層は地元の人が大半で、老若男女問わず訪れるという。「日本で飲んだ抹茶と同じ」「ミニ京都みたい」と好評だ。長橋さんは「お客さんとの交流が一番楽しい」と語る。

長橋さん
抹茶ラテに使う抹茶を茶筅で一杯ずつ丁寧に点てる長橋さん。メニューには薄茶もある。
石臼
玄米茶づくりに使用している石臼。今後は挽き茶体験なども行う予定。

バンガロールの人々は新しいものに対する抵抗感が少なく、日本文化への関心も高いが、インドでは様々なお茶が「抹茶」として流通しており、長橋さんは「産地の明確な本物の抹茶」を伝えることに意義を感じているという。
お茶をはじめとしたワークショップも企画中で、総合的な日本文化発信の拠点にしていく考えだ。カフェ営業で資金を集め、次に抹茶の卸売・小売事業を展開、最終的にはインド国内で抹茶生産を開始し雇用創出を目指す。
「インドでは農家の収入は低く、労働力が搾取されている現状があります。質の良い抹茶を栽培・製造し、高値で販売することで、安定した収入につなげられれば」

戦略的アプローチで、インドに新しい日本茶文化を根づかせるべく奮闘する長橋さん。テカは、人と人をつなぐ現代版「茶の湯」の場になることだろう。

ラテ
デリーのコーヒーロースターDevan'sの豆を使ったコーヒーメニューも充実している。

TEKA
1st Floor, 79, 11th cross, 5th Main Rd, 1st Stage, Indiranagar, Bengaluru, Karnataka 560038 India
11:00~20:00
月曜休
Strawberry Matcha Latte 380ルピー
Azuki Matcha Latte 380ルピー
Black Sesame Kinano Cream Hojicha Latte 380ルピー
TEKAのInstagram アカウント:@teka.coffeeandjapanesetea

*1ルピー=1.72円(2026年3月時点)

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