英国スターパン職人が手掛ける五ツ星ホテルのベーカリーが話題
England [London]
2026.03.03
text by Yuka Hasegawa
クラリッジズ・ベーカリーのエグゼクティブ・ベーカー&クリエイティブ・ディレクターを務めるリチャード・ハート氏(右)。ロンドン出身で、料理人としてキャリアをスタート後、米サンフランシスコの名店「Tartine」でヘッドベーカーを務める。その後コペンハーゲンで、「ノーマ」のレネ・レゼピ氏と共同で「Hart Bageri」を創業し、北欧のクラフトベーカリーを牽引してきた。2025年には、メキシコシティに「Green Rhino」をオープンした。ヘッド・シェフ、フレドリック(Frederic Doncel-Latorre)と共に。
2026年1月下旬、ロンドンを代表する五ツ星ホテル「クラリッジズ」が、満を持して「クラリッジズ・ベーカリー(Claridge’s Bakery)」をオープンし大きな話題になっている。
これまで英国のラグジュアリーホテルのベーカリーといえば、フランスの著名パティシエを起用するのが主流だったが、新店を指揮するのは、世界的に評価の高い英国人ベーカー/シェフ、リチャード・ハート(Richard Hart)氏。型に入れず天板で焼く英国の伝統的なパン「ブルーマー」や、穀物の風味豊かな「グラナリー・ローフ」をはじめ、時代を超えて子供たちに親しまれている「ジャミードジャータルト」や「アイスド・フィンガー」など、定番の英国菓子をベースに、ハート氏のクリエイティビティが光るアイテムがショーウィンドーを飾っている。
「子供の頃、祖父母によく買ってもらった英国の焼き菓子を、厳選された原料や食材を使って蘇らせました。当時へのノスタルジーと、クラリッジのヘリテージ(歴史的な遺産)が詰まっています。例えば、アイスド・フィンガー。街のベーカリーでよく見かけるのは、パンに合成着色料たっぷりのアイシングシュガーが塗られていますが、ここではラズベリーやレモンなどのピュアなフルーツをふんだんに使っています」とハート氏。加えて、スマイリーフェイスに成型されたジャミードジャータルトなど、遊び心溢れる焼き菓子は、オープン早々、ロンドナーから熱い視線を集めている。
権威あるクラリッジズを冠した店だが、ホテルの正面玄関の裏手のブルック・ミューズに面した独立した店舗。地元のロンドナーが訪れることができる「街のパン屋」として“地域に滋養を届ける場(nourish the neighbourhood)”になることを掲げているという。店内はミニマリズムを感じさせるカウンターの左手に、広々としたオープンキッチンが広がる。パンの焼き上がる心地よい香りと共に、ベーカーたちがパン作りをする様がうかがえる、ユニークな体験型ショップとしても人気だ。
◎Claridge’s Bakery
Claridge’s
Brook Street, Mayfair London W1K 4HR
https://www.claridges.co.uk/restaurants-bars/claridges-bakery/
*1ポンド=210円(2026年3月時点)
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