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RECIPE

“質も値段も日本一”な魚屋の手仕事「銀ダラの西京漬け&カマスの干物」

ブルーフード・レシピ:「根津松本」松本秀樹さん

2026.02.05

“質も値段も日本一”な魚屋の手仕事「銀ダラの西京漬け&カマスの干物」

photographs by Masahiro Goda

連載:ブルーフード・レシピ

海に囲まれ、豊かな漁場を有する日本には魚食文化が根付いています。魚を食べるなかで培われ、受け継がれてきた知恵や知識を継承し、上手に食べることは、多様性豊かな海の保全につながります。日本周辺でとれる水産物(ブルーフード*)の魅力を再発見するレシピを人気店のシェフに教わります。今回は、“質も値段も日本一”と評判の魚屋「根津松本」直伝の「銀ダラの西京漬け」と「カマスの干物」です。

*ブルーフードとは、淡水・海洋環境に由来する植物、動物、藻類など水生生物性食品のこと。食料危機や気候変動などの課題に対応し、健康的で持続可能な食料システム構築への貢献が期待されている。
**日本の海面漁業の漁獲量ランキング(漁獲量/前年比)【農林水産省:令和5年漁業・養殖業生産統計】
全体(282万3,400t/-4.3%):1位マイワシ(68万900t/+6.1%)、2位ホタテガイ(33万600t/-2.8%)、3位サバ類(26万1,100t/-18.3%)、4位カツオ(15万2,600t/-20.0%)、5位スケトウダラ(12万2,900t/-23.4%)、6位カタクチイワシ(11万4,000t/-7.3%)、7位マアジ(9万2,000t/-7.0%)、8位ブリ類(8万1,000t/-12.9%)、9位サケ類(6万t/-31.8%)、10位マダラ(5万4,000t/-6.9%)

目次






教えてくれた人:東京・根津「根津松本」松本秀樹さん

(写真提供:根津松本)

2007年オープン。寿司屋や高級料亭が仕入れるような一級品の魚を扱う。左から2番目が店主・松本秀樹さん。2024年には東京・麻布台ヒルズマーケットに「根津松本 麻布台」をオープン。


仕事をしない魚は売らない

明るく清々しい店構えに惹かれて何も知らずに暖簾をくぐると、魚の値段に度肝を抜かれるかもしれない。「根津松本」は、店主・松本秀樹さんが2006年に開いた超高級鮮魚店。ケースの中には魚介が整然と並び、宝石箱のよう。イクラやウニ、甘鯛……アジやイワシ、アサリもある。「いわゆるハレの“高級魚”ではなく、寿司屋や料理屋が扱うような“一の線”です」

松本さんは、懇意にする築地の仲卸を毎日回り、箱詰めを何箱も開け、目にとまったものだけバラで仕入れる。「産地や大きさが同じでも、肩が張ってるとか腹が太いとか、1尾ごとに違う。9箱開けて5尾とか、僕の仕入れはかなりわがまま」。産地や旬にも流されず、魚の個々の状態を見て仕入れる姿に、目利きも信頼を寄せる。

仕入れがそんなだから、売値は当然高くなる。「高くてもよければ買う」という時代ではなくなった今も客足が衰えないのは、“売る力”があるからだ。「仕事をしない魚は売らない」

ひと言でいえば、「聞かなくても食べ方がわかるようにする」。仕事が施されない魚はこの店に皆無だ。大きい鮮魚なら程よい大きさのフィレに。穴子は開き、ぬめりを取り形を整えて。太刀魚は串を打ち白髪ネギまで挟んである。

「カマスは通常背開きにして干物にしますが、骨が鋭いので除き、身質のよさを際立たせるため三枚におろします」。それを濃厚な昆布だしに浸して上品な旨味をのせる。銀ダラは厳選した白味噌と正味、みりんで潔い味わいに仕立てている。

クオリティは最上、スーパーで買うよりもむしろ使い勝手が良く便利。この店で知る魚食の贅沢に、虜になる客が続出中だ。


「銀ダラの西京漬け」の材料と作り方

銀ダラの西京漬け

[材料]
銀ダラ・・・10 切れ(1切れ50g)
塩・・・適量
白味噌(広島産)・・・500g
醤油・・・9ml
みりん・・・12ml

[作り方]
[1]下塩をする

[1]下塩をする

銀ダラは指2本分程度の厚さに切り、味が沁みやすいよう中央に切れ込みを入れ、下塩をして10分置く。

[2]水分を取る

[2]水分を取る

写真のようにかなり水分が出てくるので、新しい紙に換えて、水気をよく拭い取る。

[3]味噌床を作る
白味噌に醤油、みりんを加え、ダマができないようよく混ぜ合わせる。

[4]漬ける

[4]漬ける

保存容器の底に吸水シートを敷き、を薄く塗る。その上にを隙間なく並べ、上からまた塗る。2~3段重ねる。冷蔵庫に入れて、2~3日置くと食べ頃に。

銀ダラの西京漬け

「銀ダラをはじめ、サワラ、キンキ、マナガツオなど白身の柔らかい魚が西京漬けに向きます。タラなど水気の多い魚は、下塩をして水分をしっかり拭うことが、おいしく作る秘訣です」


「カマスの干物」の材料と作り方

カマスの干物

[材料]
カマス・・・1尾
3%濃度の塩水・・・適量
氷・・・適量
水・・・5L
酒・・・500ml
羅臼昆布・・・20g
塩・・・だしの量の18%

[作り方]
[1]昆布だしをとる
鍋に水と酒を張り、昆布を浸し火にかける。80℃を保ち、1時間半煮る。18%量の塩を溶かしてから冷まし、一晩寝かせる。

[2]下処理をする

[2]下処理をする

頭と内臓を落とし、ウロコを引き、三枚におろし、腹骨もすく。小骨も骨抜きで抜く。

[3]臭みを抜く

[3]臭みを抜く

塩分3%の氷水に10~15分浸し、血や臭みを抜く。引き上げ水気をよく拭う。

[4]昆布だしに浸す

[4]昆布だしに浸す

の昆布だしにのカマスを入れ、12~18分浸す。

[5]塩分を抜く
引き上げてからしばらく流水に浸し、浸かり過ぎた塩分を抜く。

[6]日陰干しをする
網にのせ、乾燥機で半日干す。ラップをせず冷蔵庫に一晩寝かせても作れる。

八幡に丸めて串を打ち、ふっくら焼き上げる

「干物にはアジ、エボ鯛、キンキなど、脂が多く身が硬すぎない魚を。氷入り塩水のひと手間で味を引き締め塩分18%の昆布だしで味をのせます。八幡に丸めて串を打ち、ふっくら焼き上げて」

(雑誌『料理通信』2016年7月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)


東京・根津「根津松本」の店舗情報


根津松本
東京都文京区根津1-26-5
☎ 03-5913-7353
11:00~19:00
日曜、月曜休
東京メトロ根津駅より徒歩4分
https://nezu-matsumoto.jp/

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

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