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RECIPE

レモンミンチ入り。ふわっとやわらかい「リモーネ(レモンケーキ)」

スローレシピ

2025.12.11

レモンミンチ入り。ふわっとやわらかい「リモーネ(レモンケーキ)」

photographs by Hide Urabe

連載:スローレシピ

材料をイチから用意し、時間をかけて、料理すること自体をゆっくりと楽しむ。それが“スローなレシピ”。時短とは真逆の価値観の先に、とびきりの味が待っています。今回はふわっとやわらかい「リモーネ」です。生地からもグラッサージュからもレモンが香ります。

目次






教えてくれた人:東京・芦花公園「ルラシオン」野木将司さん

野木将司さん

フランスで修業後、「ピエール・エルメ・パリ」等で経験を積み、2013年に独立し現店をオープン。


空気を含ませてふわっと軽やかに

フランス菓子にも、ケークシトロン(レモン風味のパウンドケーキ)があります。そのせいか、フランス菓子店が作るレモンケーキは、パウンド生地に近いものが多い気がします。僕はもっとふわっと柔らかいイメージがあったので、生地に空気を含ませるように作っています。パウンドケーキやマドレーヌは生地に空気を含ませる混ぜ方をしないので、この違いは大きいですね。

生地の構成要素は大きく分けて3つ。卵黄生地、メレンゲ、そして粉です。卵黄生地には、レモンのピールをコンフィにしたレモンミンチや果汁、皮が入ります。

ポイントは卵黄生地とメレンゲを合わせるところ。卵黄生地にはじめ3分の1のメレンゲを加えて馴染ませますが、この時メレンゲの泡のことは気にせず、しっかり混ぜます。次に薄力粉を加えて混ぜる時も同様です。そして、残りのメレンゲを加えた後は、なるべく泡を潰さないようにしながら、メレンゲの白い跡が見えなくなるまで効率よく混ぜます。混ぜすぎは泡を潰す原因になり、混ぜ残しは焼きムラにつながるので、ここが作業の肝なんです。

焼き菓子の場合、焼き色が商品の見た目にそのまま直結するので、型の材質は金属製がおすすめです。

愛用の道具たち

1.職人魂を感じる型

ブリキのレモンケーキ型

千代田金属工業製のブリキのレモンケーキ型。焼き色が安定していて、グラッサージュをかけても焼き色がおいしそうに透けて見える。

2.しなりにくいゴムベラ

しなりにくいゴムベラ

重い生地がしっかり混ぜられる。柄の先がボウルにかけられる点も便利。チョコレート仕事にも向く。

3.ボウルが浮くミキサー

ボウルが浮くミキサー

ボウルが浮くタイプのミキサーは、混ぜ始めた材料が思ったより冷たくても、後からバーナーで温められ便利。

4.くっつき防止のシルパン

くっつき防止のシルパン

マドレーヌなどは型から外す際、紙を使っていたが、レモンケーキは生地がくっついてしまうためシルパンに。


「リモーネ」の材料と作り方

「リモーネ」の材料

[材料](25個分)
薄力粉・・・195g
ベーキングパウダー・・・3.8g
<卵黄生地>
 バター・・・234g
 グラニュー糖・・・78g
 卵黄・・・103g
 レモン果汁・・・25g
 レモンミンチ(ピールのコンフィをつぶしたもの)・・・93.7g
 レモンの皮・・・6.2g
<メレンゲ>
 卵白・・・206g
 グラニュー糖・・・156g
<グラッサージュ> ※ミキサーで全体が馴染むまで撹拌
 粉糖・・・1kg
 レモン果汁・・・200ml

[作り方]
[1]卵黄生地を作る

[1]卵黄生地を作る

ミキサーボウルにビーターをセットし、常温にもどしたバターを低速で回す。塊が消えたらグラニュー糖を加え、低速→中低速で白っぽくなるまで回す。

[2]レモンを加える

[2]レモンを加える

一度止め、卵黄を加えて再度回す。よく混ざったらレモン果汁、ヘラでならしたレモンミンチ、皮も加え馴染むまで回す。

[3]メレンゲを作る

[3]メレンゲを作る

別のボウルで、中高速のホイッパーで卵白を泡立てる。全体が白っぽい泡になったらグラニュー糖を振り入れ、さらに混ぜて8分立てにする。

[4]メレンゲの一部と粉類を馴染ませる

[4]メレンゲの一部と粉類を馴染ませる

ボウルにと1/3量のメレンゲをゴムベラでしっかり混ぜ合わせる。振るった薄力粉とベーキングパウダーを加え、しっかり混ぜ合わせる。

[5]残りのメレンゲを混ぜる

[5]残りのメレンゲを混ぜる

残りのメレンゲを加え、今度は泡をなるべく潰さないよう、メレンゲの白い跡がなくなるまで底からすくい上げて混ぜる。

[6]型に絞り出す

[6]型に絞り出す

1.2cmの口金を付けた絞り袋に入れ、オイルスプレー(分量外)をした型に絞り出す。最初は5分目くらいまで入れ、最終的に8分目になるよう均等に絞り出す。

[7]焼成

[7]焼成

150℃に予熱をかけたオーブンで15分焼き、前後を入れ替え8分焼く。写真は焼き上がりの状態。

[8]型から取り出す

[8]型から取り出す

オーブンから出したら型から外し、網の上に広げたシルパットに裏返しておく。

[9]グラッサージュをかける

[9]グラッサージュをかける

粗熱がとれたら、バットに網を重ねた上に並べ、グラッサージュをたっぷりかける。100~160℃のオーブンで1分乾かす。

生地からはバターとレモンの香りが品よく漂う

生地からはバターとレモンの香りが品よく漂う。さらに粉糖とレモン果汁で作ったグラッサージュをかけ、キュッとしたレモン感を表現。

(雑誌『料理通信』2019年2月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)


東京・芦花公園「ルラシオン」の店舗情報


ルラシオン
東京都世田谷区南烏山3-2-8 丸加ビル 1F
☎03-6382-9293
11:00~18:00(土曜、日曜、祝日~17:00)
月曜、火曜休
京王線芦花公園駅から徒歩3分
Instagram:@relation_entre

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

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