煎りたての香ばしさと濃厚なコク「練りゴマ」
【DIYレシピ】「の弥七」山本眞也さん
2025.08.04

photographs by Masahiro Goda
連載:DIYレシピ
塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。今回は、煎りたてならではの香ばしさがクセになる「練りゴマ」です。
目次
教えてくれた人:東京・荒木町「の弥七」山本眞也さん

26歳で上海に渡り、帰国後、三田「桃の木」へ。「和食と中華の融合」を自身のテーマとする。2014年独立。
みがきゴマで軽くマイルドに
和食でよく使う練りゴマは、中国でも「芝麻醬(チーマージャン)」と呼ばれ、頻繁に使う調味料のひとつ。「中国の店の厨房では、若いスタッフが朝から何キロものゴマを炒っては潰し、炒っては潰しをひたすら繰り返す光景をよく見かけます。その位、練りゴマは中国料理になくてはならない大事な存在です」
そう語るのは「の弥七」の山本眞也シェフ。ゴマはすり潰す直前に煎ると風味が抜群によいので、特に自家製をすすめたいアイテムだそう。皮を剥いたみがきゴマを使うと、舌にひっかかりがなく、味もやや軽くマイルドに仕上がる。煎る時は焦げやすいので弱火で、終始フライパンを揺する。
「約1時間かけてすり鉢でする方法もありますが、うちはフードプロセッサーを使い、市販の練りゴマとネギ油を加えます」。この方法だとゴマの粒感も適度に残しながら滑らかにできるという。ネギ油のコクが加わり、これ一つで和え物や棒々鶏、しゃぶしゃぶのタレなど多岐に使える。煎ったゴマの香りと後引く濃厚なコク。一度食せば、市販の練りゴマにはもう戻れない。
「練りゴマ」材料と作り方
[材料](作りやすい分量)
みがきゴマ(白)・・・500g
練りゴマ(白・市販)・・・150g
ネギ油*・・・200g
*鍋でゴマ油500gとネギの青い部分3本分とショウガ1片を中火にかけて、食材が焦げる少し手前で引き上げ、漉す。
<材料のポイント>
口当たりのよい、みがきゴマを使う

薄皮がすべて剥がれているみがきゴマは、舌にひっかかりがなく、口当たりがよい。味も上品でややライトになる。
[作り方]
[1]ゴマを煎る

フライパンでみがきゴマを20分ほど、こんがり色づくまで弱火で煎る。【POINT】焦げ付きやすいので、必ずフライパンを揺すりながら。
[2]ゴマをする

熱いまま1をフードプロセッサーに入れて、少し粒感が残る8~9割程度まで撹拌する。【POINT】温かいまますることで、ゴマの油分が出やすくなる。粒の粗さは好みで調節する。
[3]市販の練りゴマを加える

市販の練りゴマを加えるボウルに2と練りゴマを加えて手で混ぜ合わせる。【POINT】この段階でしっかり練り混ぜて、ムラをなくす。
[4]ネギ油を加える

ネギ油を加えて、さらに混ぜ合わせる。

仕込み時間:約30分
賞味期間:直後~2カ月
保存方法:冷蔵
展開例1:棒棒鶏
[材料](約8人分)
鶏ムネ肉・・・300g
きゅうり(せん切り)・・・1/2本
A
練りゴマ・・・160g
ピーナッツペースト・・・40g
砂糖・・・90g
ゴマ油・・・20g
ラー油・・・16g
醤油・・・140g
酢・・・90g
長ネギ(白い部分・みじん切り)・・・大さじ2
ショウガ(みじん切り)・・・大さじ2
[作り方]
[1]鍋に湯を沸騰させ、鶏ムネ肉を塊のまま加えてすぐ火を止める。
[2]そのまま20分置き、余熱で火を通す。
[3]2を取り出し、手で裂く。
[4]たれをつくる。ボウルにAを入れて混ぜ合わせる。
[5]器にきゅうりと3を盛り、たれをかけて長ネギとショウガをのせる。

練りゴマにナッツペーストを加えてたれを濃厚に仕上げた。茹で鶏は余熱だけで火を通すのがふっくらしっとり仕上げるコツ。
展開例2:担々麺
[材料](1人分)
A
酢・・・小さじ1
醤油・・・大さじ3
練りゴマ・・・大さじ5
ラー油・・・大さじ3
白コショウ・・・適量
鶏ガラスープ・・・400ml
中華麺・・・130g
<トッピング>
味付け豚挽き肉*・・・適量
フライドニンニク・・・適量
長ネギ(白い部分・みじん切り)・・・適量
花椒、ラー油・・・各適量
*フライパンに油を適量引いて弱火で熱し、豚挽き肉200gを加えて色が白っぽくなったら甜麺醤大さじ1、醤油大さじ1/2、砂糖大さじ1/2を加えて炒め合わせる。
[作り方]
[1]丼にAを入れて混ぜる。
[2]鍋に鶏ガラスープを沸騰させ、1を加えてひと煮立ちさせる。
[3]スープの仕上がりに合わせて、中華麺を指定時間茹で、ザルにあげる。
[4]麺を丼に入れて、2のスープを注ぎ入れる。
[5]味つけ豚挽き肉、フライドニンニク、長ネギ、花椒をのせ、ラー油を回しかける。

鶏ガラスープに練りゴマとラー油、醤油などの調味料を加えて作る坦々麺。仕上げに甘辛く炒めた挽き肉とフライドニンニクを加えてボリュームを加えた。
東京・荒木町「の弥七」の店舗情報
◎の弥七
東京都荒木町2-9 MIT四谷三丁目ビル1F
☎03-3226-7055
11:30~14:30(予約のみ)、17:30~21:00LI
日曜休
東京メトロ四谷三丁目駅より徒歩3分
https://noyashichi.com/
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2017年5月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)
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