DIYレシピ02
好きな魚で漬ける“自家製ツナ”
東京・神泉「オルランド」小串貴昌シェフ
2024.11.18
photographs by Tsunenori Yamashita
連載:DIYレシピ
塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。天日に干したり、発酵させたり、自然の力にゆだねるレシピは、人間本位ではない生き方を学ぶ処方箋。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。
教わるテクニック:魚のオイル漬け・プリザーブ術
教えてくれたシェフ:東京・神泉「オルランド」小串貴昌さん
好みの魚を茹でて冷ましてオイル漬け
魚の調達さえクリアすれば手順そのものはシンプルです。今回はダルマ(メバチマグロの若魚)を使いますが、ビンチョウマグロやワラサなんかを使ってもできる。ダルマを使うとしっとりとした食感のツナになるし、メジマグロはちょっと高級な味わい、これからの季節だったら旬のキハダを使うのもおすすめ。カツオやサバもオイル漬けには向いています。魚の種類によって出来上がりの味わいも変わってくるので、いろいろ試して好みの味を見つけるのも楽しいと思います。それこそ、市販品にはない醍醐味ですから。
茹でる温度が肝! 75℃キープでゆっくり火を通す
まず下処理した魚を、塩湯に沈めて静かに煮ます。今回はタイムとレモンを加えましたが、好みのハーブで風味を変えてもいい。ポイントは、茹でる温度を“75℃”にキープすること。75℃だと、湯の中に入れた切り身の中心温度が65℃ぐらいになります。そうすると、しっかりと熱が入りながらもアクが出ない。だから、ツナ作りに温度計は必需品。湯に温度計を入れて、きちんと計ります。あとは自然に冷めるのを待つだけ。
ツナはいろんな料理に活用できますし、細かく切ったりほぐしたりしなければ主菜になるほどボリュームもたっぷり。魚の風味や旨味が移った漬けこみオイルも活用できます。冷蔵庫で約2週間保存できるので、常備菜として作っておくと便利です。
自家製ツナの極意
1 茹でる温度は「75℃」にキープ。
2 温度を一定に保つため、大きめの鍋を。
3 あせりは禁物、湯の中で完全に冷ます。
[材料]
メバチマグロ・・・660g ※冷凍でも可
塩・・・水1L に対し10g
タイム・・・1パック
レモン(国産がベター)・・・1個
オリーブ油、ヒマワリ油・・・各適量
[1] 血合いをとり、皮を引く
おろしたマグロの半身を縦半分に切り、血合いをとる。皮と身の間に包丁を入れ、滑らせるように皮を引く。
[2] 瓶の高さに合わせてカット
保存する瓶の高さに合わせ、食べやすい大きさに切る(写真は1切れ160g程度)。冷凍の場合は室温に戻す。
[3] 塩湯を作る
鍋に水を入れて温める。レモンは果汁を搾ってから皮ごと入れ、塩、タイム、オリーブ油(大さじ1)を加える。
[4]「75℃」まで温める
湯の温度が75℃になるまで温度計で計り、温める。
[5] 重ならないように
温度が75℃になったら、湯に[2]を重ならないようにそっと入れる。
[6] 温度は75℃をキープ
魚に火が通るまで約1時間半煮る。
POINT:80℃を超えると煮崩れしやすくなるため注意。
[7] 湯の中で冷ます
火を止め、湯に浸かった状態のまま完全に冷めるまで5~6時間程度置く。
[8] 水分を拭く
しっかりと冷めたら鍋から取り出して水分を拭く。
[9] オイルを瓶の口まで注ぐ
タイムと共に煮沸消毒した瓶に入れ、1:1 のオリーブ油とヒマワリ油を口すれすれまで注ぎ、蓋をする。
◆制作日数:8時間 ◆食べごろ:2日~ ◆保存方法:冷蔵庫で2週間
◎Orlando
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【連載レシピ】
(雑誌『料理通信』2015年7月号掲載)