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RECIPE

過ぎゆく夏を惜しむ一品「インゲンとドライトマトの煮もの」

プラントベースの始め方53

2025.08.28

過ぎゆく夏を惜しむ一品「インゲンとドライトマトの煮もの」

text by Michiko Watanabe / photographs by Kazumasa Harada

連載:プラントベースの始め方

健康や環境への配慮から、植物性の食材を主体とする“プラントベース(Plant Based)”な食事法が注目されています。肉や魚や乳製品に頼らずとも「おいしい」料理を作る知恵は、世界各地に存在します。身近なレシピからおいしくプラントベースを始めるヒントを紹介します。

目次






教えてくれた人:東京・富ヶ谷「アヒルストア」齊藤輝彦さん

「アヒルストア」齊藤輝彦さん

大学卒業後、設計事務所、弁当屋台「スター食堂」、ワインショップ勤務を経たのち、元点心師の妹の和歌子さんと共に2008年現店開業。以来、ナチュラルワインシーンをけん引する酒場として注目を集め続ける。


トマトソース味にしない

「アヒルストア」がオープンしたのは2008年。黒板に並ぶメニューの中には、すっかり定着したものもあれば、季節に応じ時に応じ、新作もちょいちょい顔を出す。定番ともいえるメニューの中には、齊藤さんがかつて旅をしてインスパイアされた、いろんな国の味も潜んでいる。

そのどれもが長く作り続けられているから、「あそこに行けばいつものアレが食べられる」が、嬉しいことにアヒルにもある。何年ぶりかで顔を出す人も、週2回行く常連も、同じように安心できる味がある。これもまた、人気を支える大きな理由だろう。

しかし、「いつものアレ」であっても、その作り方はずっと同じではない。齊藤さんのアンテナは常に張り巡らされていて、役立ちそうな情報は即キャッチ。何度もトライしては、いいところを取り入れる。そうやって、常にレシピをアップデートしている。だから、古くなることなく、ますます愛されるつまみになっていくのである。

レシピは素材から考えることも多い。盛岡の農園からどっさり届く盛りの野菜からの発想。「素材そのものがおもしろい時は、すでに素材が料理になっているので、あまり手をかけない」。

たとえば、インゲンとドライトマトの煮もの。レシピのベースは、杉原一禎シェフの『ナポリ野菜料理』。大量に届いたモロッコインゲンとカプセルトマトでトライ。「ほぼインゲンの味で完結している料理」。本ではフレッシュのプチトマトが使われているが、「トマトソース味にしたくないから」とセミドライにして形を残し、インゲンの茹で汁を加えて互いの味を移しながらくたっと煮て一体感を出す。「イタリアのきんぴらみたいなイメージですね。地味だけど好き」。夏を惜しむ一品だ。


「インゲンとドライトマトの煮もの」材料と作り方

[材料]
プチトマト・・・300g
インゲン・・・600g
オリーブ油・・・60g
ニンニク・・・2片
バジル・・・2枝
塩・・・適量
黒コショウ・・・適量
乾燥オレガノ・・・適量

[作り方]
[1]ドライトマトを作る

ドライトマトを作る

バットにオーブンシートを敷き、縦にカットしたトマトを、切り口を上に向けて並べ、140℃のオーブンで40分乾燥焼きする。

[2]インゲンを茹でる

インゲンを茹でる

インゲンを0.5%の塩をした湯で軟らかくなるまで茹でる。

[3]油に香りを移す

油に香りを移す

同時進行で、フライパンにオリーブ油、潰したニンニクを入れて弱火にかけ香りを移したら、ドライトマトとバジルを加える。

[4]水分を飛ばしながら煮る

水分を飛ばしながら煮る

トマトが温まり、香りが出たら、の鍋からトングでインゲンを移し、茹で汁も少量加える。粗塩をして、蓋はせず、水分を飛ばしながらゆっくり煮る。【POINT】あまり混ぜ返さない。

[5]常温に冷ます
仕上げに黒コショウを挽き入れ、バットなどに広げ常温に冷ます。オレガノを散らす。

常温に冷ます

「イタリアのきんぴらみたいなイメージで作っています。これは常温で食べたい」


東京・富ヶ谷「アヒルストア」の店舗情報


アヒルストア
東京都渋谷区富ヶ谷1-19-4
☎03-5454-2146
15:00~21:00
水、日曜休
東京メトロ代々木公園駅より徒歩7分
Instagram:@ahiruani

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

(雑誌『料理通信』2019年10月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)

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