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中村和成シェフがレシピ協力!千葉県産銘柄豚ソーセージの読者試食会リポート

2026.03.24

text by Fumiko Kano / photographs by Tsunenori Yamashita

3月9日(月)、東京・日本橋のフレンチレストラン「ラ・ボンヌターブル」にて、千葉県産銘柄豚肉を使ったソーセージの試食会が開催された。集まったのは、飲食店や食品メーカー勤務、料理やチーズ、パンの愛好家など様々なバックグラウンドをもつ料理通信読者15名。ソーセージの開発に携わった千葉の養豚家、ソーセージ加工事業者、料理人、主催者である千葉県庁の事業担当者の話を聞きながら、試作品について率直な意見を交わすことが目的だ。

千葉県の豚肉産出額ランキングは全国4位。全国でもトップクラスの養豚県だ。養豚が盛んな理由として、体温調節が苦手な豚にとって房総半島は寒暖差の少ない快適な気候に恵まれていること、また歴史的にさつまいもや醤油粕、鰯粕などの良質な飼料が手に入る環境だったという背景がある。しかし、千葉が養豚県だという認知度はまだまだ低く、千葉県出身の参加者から「生まれ育った土地なのに豚肉が有名だと知らなかった」という声も。

今回開発するソーセージは県産豚肉のおいしさを生かし、養豚県ちばの認知度向上に向けて、千葉県の銘柄豚肉の生産者や加工事業者、関係団体が連携し、スタートした取り組みだ。

銘柄豚肉の生産者「青柳ファーム」の青柳耕一さん

会の初めに銘柄豚肉の生産者である「青柳ファーム」の青柳耕一さんが「豚が産まれてから大体どのくらいで食用肉になるかご存知ですか」と参加者に質問を投げかけた。約1kg〜1.4kgで産まれた子豚が110kg〜120kgの肥育豚として出荷されるまで約半年、その間、農家の休みはほぼないと聞き、普段食べている豚肉がどれくらいで口に入るのか、考えたこともなかったことに気付く。


引き算の設計で、豚肉の「素顔」をあぶり出す

ソーセージのレシピ開発を担当したのは、会場でもある「ラ・ボンヌターブル」の中村和成シェフ。開発にあたり最も意識したのは、レストランで提供するようなナチュラルな豚の旨みが主役になるソーセージだ。味を足していくという発想ではなく、いかに削ぎ落としていくかを模索し、様々な角度から試作を重ねたという。定番のモモ肉のほか、筋が多く硬いウデ肉も挽くことで赤身の力強い味わいが引き出される点に着目。香ばしく焼くことで、千葉県産銘柄豚のポテンシャルが引き出される。

「ラ・ボンヌターブル」中村和成シェフは千葉県出身

ソーセージの加工を担当した「シェフミートチグサ」の石井晃太さんは、「何より驚いたのは、シェフから届いたレシピの熟成期間」と話す。フレッシュな豚肉の甘味が残るよう肉の熟成期間を中1日とするオーダーに、「肉は寝かせることでソーセージの旨みが増す」と自社商品に誇りを持つ職人たちからは当初、戸惑いの声もあったそうだ。しかし、「県産のおいしい豚肉を一丸となってPRしていく上で、自社としても新しい挑戦と考え、奔走した日々でした」と振り返る。

ドイツ食肉連盟主催のコンテストでも金賞を受賞した実績を持つ食肉事業者「シェフミートチグサ」の石井晃太さん。シェフの試作には都度驚かされ、自身も貴重な経験だったと話す。

実食タイムではまず、マッシュルームのペーストを練り込んだソーセージをケーシング違い(羊腸と豚腸)で2種類食べ比べ。細かく刻んだマッシュルームを炒めながら水分を飛ばし、旨みを凝縮した「シャンピニョン・デュクセル」にエルブ・ド・プロヴァンスを効かせたペーストが、豚肉の旨みを底上げする。羊腸はプチッとした歯切れの良さ、豚腸はかぶりついたときの肉々しい食感が印象的だ。

最初に提供されたマッシュルームソーセージのプレート。腸違いで食べ比べる機会はなかなかなない。添えられたポテトサラダ、ごはん、パンとの相性もチェック。

続いて柚子こしょうを練り込んだ羊腸のソーセージを、添えられたグリーンサラダ、パン、日本酒、ワインと食べ合わせる。ソーセージを噛んだ瞬間に柚子こしょうの風味が広がり、豚の脂と重なり合う様子はまるで料理を食べているよう。

付け合わせのグリーンサラダは、セロリやカイワレなどクセのある野菜が柚子こしょうソーセージを引き立てる。

そして、ほんのりスパイシーな和の風味のソーセージと日本酒の相性の良さに驚く声があちこちから聞こえたセレクトは、千葉県内に本社を構える酒販店「いまでや」の白土暁子さんが担当。
マッシュルームソーセージにはまろやかな旨みを讃えた山廃純米、柚子こしょうソーセージにはキュッとした酸味が特徴の純米吟醸を合わせ、いずれも優しい豚肉の甘味に寄り添い、口中の余韻が綺麗にまとまる組み合わせとなった。ビールやワインだけではない、和酒との組み合わせも飲食シーンの幅を広げるだろう。

「いまでや」の白土暁子さん
柚子こしょうソーセージと合わせたのは、「HITEN 飛囀 鵠 (HAKUCHO) -Type A」。「酸」に向き合ったという異色の酒で、ほんのりスパイシーなソーセージに寄り添いつつ脂を綺麗に流す。

ソーセージが映し出す、千葉県産銘柄豚の魅力

試食を終えて、参加者からはさまざまな食べ方の提案が生まれた。ホットドッグのようにパンにはさむスタイルはもちろん、ライ麦パンや米粉パンとの相性も良さそうという意見も。興味深かったのは、「ごはんにも合う」という発見。実際に白米と一緒に食べてみると、豚肉の甘味が米の熱で溶け合い、驚くほど自然な調和を見せた。「おでんのだしとも合うのではないか」などの声も上がり、洋に囚われない食べ方も期待できそうだ。

試食を進めながらアンケートに感想やアイデアを綴る参加者の皆さん。

今回の試食会で集まった意見は、今後のさらなる商品開発に反映される予定。参加者からは、地域としても盛んな音楽系フェスへの出店や、観光地などで片手で食べられるメニュー展開、また贈答用セットとしての販売を期待する声も聞かれた。
千葉県産銘柄豚の実力を伝える第一歩として、さらなるブラッシュアップが期待される。

<当日の試食メニューより>

羊腸のマッシュルームソーセージは、ほんのり甘いコッペパンやロールパンに挟んでホットドックに。
豚腸のマッシュルームソーセージをカットしピザトーストにトッピング。皮の厚い豚腸は食べ応えがあり、チーズやケチャップにも負けない肉々しさが魅力。
柚子こしょうソーセージのバインミー。下に敷いた大根と人参のなますの酸味、ディルなどハーブの香りと、組み合わせる食材で料理として完成度の高い商品になりそうだ。

(料理通信)

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