12月8日(月)よりフェア開始。
茨城の晩秋の食材に生命を吹き込む、シェフ5人の発想。
2025.12.08
【PROMOTION】
text by Mieko Sueyoshi / photographs by Sai Santo , Hide Urabe
2025年10月、都内5人の実力派シェフたちが、「霞ヶ浦 暁のしらうお」、有機野菜、銘柄豚肉「常陸の輝き」、レンコン、茨城県の豊かな食材を視察し、料理のアイデアを膨らませました。イタリア、スペイン、中国、日本料理のシェフが、生産者や食材のどこにフォーカスし、どんなメニューを生み出したのか。12月8日(月)より提供が始まるメニューの裏側に迫ります。
視察の様子・食材の詳細は、続・こうして料理人は自然の代弁者になる。5人のシェフが産地に教わること。
【5人のシェフの発想】
■イタリア「リヴィエーラ」(代沢) 伊沢浩久シェフ
■スペイン「ランブロア」(用賀)磯部美木子シェフ
■中国料理「中國菜 李白」(恵比寿)佐藤剛シェフ
■ザ・キャピトルホテル 東急 日本料理「水簾」(永田町)古屋 敬 板長
■日本料理「六雁」(銀座)秋山能久料理長
現地では思いつかない、レンコンの北イタリア郷土料理
世田谷の住宅街に今夏オープンした「リヴィエーラ」は、その名通り「海岸」を思わせる鮮やかなブルーの扉が目印。北イタリアの名店で郷土料理の魅力に触れた伊沢浩久シェフは、伝統の味に自身のセンスを加えた料理に定評があり、ここ世田谷の店には前店からのファンも通う。
「視察先で初めて知った食材もあって、その場で直接、たくさん質問できたのが良かったです」と話す伊沢シェフ。メニューに選んだのは「れんこん三兄弟」のレンコンと銘柄豚肉「常陸の輝き」だ。「イタリア人シェフたちが日本に来て興味を示すのがレンコンやゴボウなどの根菜類です。現地にはないレンコンの味と食感で、イタリア料理に活かしてみたい」
まずは、一度食べると必ずリピートされるという伊沢シェフの野菜たっぷりのミネストローネをアレンジ。セロリ、パプリカ、ホウレンソウ、タマネギ、カブなどのスープに、「常陸の輝き」のバラ肉と肩ロースを手切りして作ったポルペッティ(肉団子)、すりおろしたレンコンとニンジン、タマネギを合わせて揚げたミニコロッケをのせる。
「常陸の輝き」のポルペッティと揚げたすりおろしレンコンが、滋味深い野菜のスープに溶け込み、やわらかなとろみと自然な甘味、コクとともに、ほのかな土の香りを漂わせる。
12月からのメニューには、中部北部の卵料理「ウォーボ・イン・カミーチャ」を仕立てた。ウォーボは卵、カミーチャはシャツ、つまり「シャツを着た卵」という意味で、店では野菜のピュレやソテーにポーチドエッグを重ね、肉のソースやビスクを合わせて供している。ピュレは春なら緑のエンドウ豆、秋なら茶色いポルチーニという具合に、季節の食材の色と卵から流れ出る鮮やかな黄身との色彩のコントラストも楽しめる料理だ。
今回はピュレをジャガイモで作り、上にソテーしたレンコンとポーチドエッグを重ね、「常陸の輝き」の赤ワイン煮と組み合わせた。ジャガイモは茹でて燻製にかけてコクを深めてから滑らかに、仕上げに素揚げしたセルフィーユルートを添えて。ホクホクとした栗のような食感とわずかに感じるセリ科の香りが、コク深い煮込みによく馴染む。
レンコンは皮を剥いてバターと一緒に真空パックに入れ2時間ほど低温調理し、その後カットして表面に色が付くまでソテー。「低温調理で旨味をギュッと閉じ込め、ソテーで香ばしさを出します。素揚げしたセルフィーユルートも同様で、根菜は色が付くまで加熱することで味、香り共に際立って、肉の煮込みによく合うんです」
「『常陸の輝き』は身が締まっていて、水っぽさもない。脂がおいしいし使いやすいです」と話す伊沢シェフ。肩ロースとバラ肉を塊ごと塩コショウして粉を付け、表面がきつね色になるまで焼いてカットし、ソフリットに加えて赤ワイン、トマトの裏ごしと共に煮込む。最後に別鍋で軟らかく煮込んだ豚足を合わせて食感に変化を付けた。
「常陸の輝き」の脂の旨味を活かした煮込みと、ほんのり甘いレンコンとを卵が橋渡しするこっくりとした味わい。濃厚な赤ワインと共に楽しみたい一皿だ。
◎RIVIERA(リヴィエーラ)
東京都世田谷区代沢4-7-2萩原ビル 1F
☎ 03-5787-8667
11:30~15:00(14:00LO)※土曜、日曜、祝日のみ
18:00~23:00 (21:00LO)
月曜休、不定休
https://www.instagram.com/riviera_italian
◎茨城フェア
2025年12月8日(月)~22日(月)の期間中、「茨城産レンコンのウォーボ・イン・カミーチャ」をアラカルト(¥ 2,000・税込)またはコース(¥ 7,800・税込)の一品として。
レブエルトの“ふわトロ”に、シラウオの存在感を利かせて
食いしん坊なら誰もが憧れるスペイン美食の町バスク。「ランブロア」は磯部美木子シェフがソムリエと二人で切り盛りするスペイン・バスク料理店だ。バスクのシンボルカラー緑と赤でまとめられた気取りのない店内。カウンターの頭上には見たことない食後酒がずらり並び、まるで現地のバルに迷い込んだようだ。
食材は極力産地から。肉や野菜など生鮮食品はなじみの小売店から仕入れ、7時間以上かけて料理を仕込む。「産地への視察は初めてで、どれも凄く刺激になりました」。そう話す磯部シェフが、メニューに選んだのは「霞ヶ浦 暁のしらうお」だ。「スペインでもヒコイワシの稚魚はあって、密漁ですけどたまに食べていました(笑)」。粉を振って揚げたシラウオに、塩を付けて食べる。ザックリした味とシェリーとの相性は最強なのだとか。
「でも、あんなに丁寧な選別作業を見たら、揚げるなんて何だか申し訳なくて」と、作ったのは「暁のしらうお」がたっぷり入ったレブエルト。スペイン人ならみんな大好きなスクランブルエッグだ。現地では海老や戻してほぐしたバカラオ、ポルチーニなどを加えて、そのままワインと共に、またパンに挟んで食べたりもする。
パートフィロのカップに卵料理と相性の良いピペラーダを入れ、レブエルトを重ねる。レブエルトはフライパンでニンニク、タマネギを炒めたところに「暁のしらうお」を入れて半生くらいに火を通し、それを卵液に混ぜ入れて再び火にかける。ここからはゆっくりじっくり火を通し、卵がふわふわトロトロ状態になったら出来上がりだ。
卵を纏った「暁のしらうお」は味も食感も存在感たっぷりで、ピペラーダの凝縮された野菜の甘味とぴったり寄り添う。パートフィロのパリパリ感と甘酢っぱいペドロフィメネスビネガーがアクセントになり、豊かな味わいが口いっぱいに広がる。
流水解凍した「暁のしらうお」は透明感があり、ぷりぷりの食感。「食べていただいたお客さんも身がしっかりしていておいしいと。イメージ以上だと言われました」。磯部シェフ自身も、「軟な魚だと思ったシラウオのイメージが、ガラリと変わりました」と話す。
◎ランブロア
東京都世田谷区用賀3-11-15-102
☎03-6432-7017
18:00~22:00LO
月曜休み、火曜不定休
東急線用賀駅東口より徒歩4分
Facebook@Lanbroa
◎茨城フェア
2025年12月8日(月)~22日(月)の期間中「暁のしらうおのレブエルトとピペラーダ」をアラカルト(¥2,420・税込)の一品として。
赤身と脂身の火入れを見極め、溢れる肉汁に
代々木上原の「虞妃(ユイフェイ)」にて、がっつり刺激的な四川の味を求める若者から支持を集めてきた佐藤剛シェフ。4年前に恵比寿の現店で独立してからは、落ち着いたマダムたちを迎え入れることが増えたという。これまで1品に利かせていたパンチ力をやや緩め、コースとして食べ進める、食後感の美しい料理にシフトしてきた。「味つけはもちろんですが、食後の体の負担感、量は特に意識するようになりました」
視察後は、「常陸の輝き」のモモ肉(シンタマ)やロース、スペアリブと、数種類の部位を取り寄せて試作。フェアでは「常陸の輝き」とレンコンを合わせた一品を考案した。
肩ロースは塩、コショウに加えて、八角やピンクペッパー、パパイヤやグアバなどのトロピカルな果実香の「明江四川白酒」をもみ込む。フライパンで表面をほんのり焼き固めたら、コンベクションオーブンで低温で芯まで火を通す。取り出した後、赤身が多い部位と脂身の多い部位を切り分けてから、再びフライパンで焼き上げる。
「赤身の部分は火が通りやすく硬くなりやすいので、とにかく火を入れすぎないように。脂身は火入れが足りないと、口の中がしつこく感じる。両方を見極めます」
仕上がりをカットすると見事な桃色。豚肉とは思えないほどスムーズな歯切れとジューシーな肉汁が滴る。ローストに添えるのは素揚げしたゴボウとれんこん三兄弟のSSサイズのレンコンのフリッター。ゴボウは水にさらさずに冷たい油から温度を上げてカラッと揚げ、レンコンは全卵入りの衣をつけてふんわりと。仕上げに自家製豆鼓ソースをまぶす。
豆鼓ソースは、あらかじめ水で洗い、塩気を抜いた豆鼓を蒸篭で30分蒸して、ニンニク、タマネギと炒め合わせてからペーストに。刻みニンニク、醤油、砂糖、ラー油と和える。ほどよい塩味とコクで、いくらでも食べ進められるキレのいい後味だ。
試食したスタッフは200gをペロリと平らげたとか。「さっぱりした味わいを好むお客様にはモモのシンタマで作ることも考えています」
◎中國菜 李白
東京都渋谷区恵比寿3-30-12 Mercury EBISU 1F
☎03-6721-9210
ランチ 11:30~15:00 (14:00LO)/ディナー 18:00~22:30 (20:30LO)
水曜休
http://www.rihaku0724.com/
◎茨城フェア
2025年12月8日(月)~22日(月)の期間中「常陸の輝き ピリ辛豆鼓ソース レンコンのフリッター添え」をアラカルト(¥2,400・税込)、またはコース(¥11,000~・税込)の一品として。
四季の奥行きを作る、三色の鮮やかな味と香り
日枝神社に繋がる森の緑が美しいザ・キャピトルホテル 東急。日本料理「水簾」の板長・古屋敬さんは、視察で印象に残った野菜とともに旬の北寄貝と合わせた酢の物を考案した。使ったのは土づくりに関心を寄せた「ふしちゃんファーム」のホウレン草と、その肌の白さに驚いた「れんこん三兄弟」のレンコンだ。
「畑で食べたホウレン草の味がとても濃かったので、すぐに取り寄せてスタッフに食べてもらい、先付のお浸しに使い始めました」と古屋さん。「貝の香りや酢の味に負けないくらい甘味が強いので、レンコンと一緒に酢の物にもしたいと考えました。水菜も冬の人気メニュー、しゃぶしゃぶに使う予定です」と話す。一方、節によって食感が異なるレンコンは、「シャキシャキした食感が酢の物にぴったりなので」先端部分の節を使い、白さを活かすため白醤油を使って下味を付けた。
ホウレン草は茹でて切りそろえた後、鰹だしと薄口醬油の地に漬けて味を含ませ、レンコンは丸ごと茹でておかあげし、食感を活かすため8ミリほどの厚さにスライスしてだしと白醤油で煮た。内臓を取り除いた北寄貝はきれいな色を出すために霜降りをして食べやすくカット。ホウレン草、レンコンと共に盛り付け、赤紫蘇の芽、春菊スプラウト、ラディッシュをあしらう。
北寄貝の赤い色にレンコンの白とホウレン草の緑が映える華やかな器に添えるのは、こちらも美しい二層の酢。鰹だし、薄口醬油、みりん、酢を合わせて寒天で寄せて崩した土佐酢ジュレと、玉味噌に酢、和辛子、胡麻ペーストを混ぜた酢味噌だ。ジュレと酢味噌をかけて和えれば、酸味と甘味に胡麻のコクと辛子の刺激も加わって、貝と野菜のおいしさが一層引き立つ。懐石の流れの中で、ひと際印象に残る一皿になるだろう。
◎日本料理 「水簾」
東京都千代田区永田町2-10-3 ザ・キャピトルホテル 東急 3F
☎03-3503-0873
11:30~15:00(14:00LO) / 17:30~22:00(21:00LO)
https://www.tokyuhotels.co.jp/capitol-h/restaurant/suiren/index.html
◎茨城フェア
2025年12月1日(月)~30日(火)の期間中「茨城蓮根と有機法蓮草 北寄貝の酢物 土佐酢ジュレと酢味噌」を懐石コース「欅」(¥18,975、税・サ込)の一品として。
青菜の香りと食感のレイヤーを閉じ込める
精進料理の真髄に触れ、「食材そのものに命がある」という感謝の姿勢を貫く「六雁」料理長秋山能久さん。30~50種の野菜を使った「野菜づくしコース」に表わされるように、日本各地の野菜を知り、活かす技は、2024年「ワールドベストベジタブルレストランTOP100」で国内3位、世界25位を獲得するなど世界でも高く評価されている。
「どこのスーパーにも安全で瑞々しい葉物が常に並んでいるのは日本の強みです。ただ、肉食文化の人たちにあまり好まれないのが悩ましいところ」。訪日外国人客を多く迎える立場から、避けられがちな葉物をいかにおいしく食べてもらうか、工夫を重ねている。
郷里でもある茨城県の視察から選んだ食材は「ふしちゃんファーム」の小松菜と水菜。ファームの葉物野菜は通年供給が利点だが、「それでも小松菜は今から冬にかけてが一番おいしい。炒めると油っこくなるので、茹でるか蒸すかしてゴマなどパンチのあるソースを付ける。すると葉物が苦手な外国の方にもおいしく食べていただけます」
今回の料理は茹でた小松菜と水菜に千切りの京人参を合わせ、薄口醤油、酒、塩で軽く味を付けた鰹だしにゼラチンを加えて寄せた、煮こごり。練り胡麻に酢ときび砂糖を合わせた胡麻ソースを付けていただく。小松菜・水菜は3㎝、京人参は4㎝に切り揃える点がおいしさのポイントだ。「箸でひと口入れたとき、口の中で野菜がまとまるための長さが重要です」
先ずは何もつけずにいただくと小松菜も水菜もシャキっとした歯触りが心地よい。咀嚼するにつれ、だしと一体化した野菜の旨味が感じられ、胡麻ソースを付けるとさらに奥行きのある味わいに。
「小松菜と水菜、それにセリや三つ葉など香りのある野菜も一緒に細かく切って合わせた胡麻和えもよく作ります。青菜は単体でもおいしいですが、合わせることで味や香りに変化が生まれさらにおいしくなる。手間暇かけて野菜のポテンシャルを100から120に引き上げるのが料理人の使命だと考えています」
◎六雁
東京都中央区銀座5-5−19 銀座ポニーグループビル
☎03-5568-6266
17:00~23:00 (20:00LO)
日曜、祝日休
http://www.mutsukari.com/menu_osusume.html
◎茨城フェア
2025年12月8日(月)~22日(月)の期間中「ふしちゃんファームの小松菜、水菜の煮こごり」をコース(¥2,5000・税込)の一品として。
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