小さな豆腐を、多少気を遣いながら準備すると 長尾智子さんの「今日も台所」第8回

食に関わる仕事を始めた頃から、縁あって菜食に触れることが多かった。マクロビオティックを基本にしたイタリア系料理で、確か地中海式ダイエットというものも流行り始めていたような時期(多分)だったから、野菜とフルーツ、穀物を使っての会やら、ケータリングは新しかったと言えるかもしれない。

「母なる大地は、何ひとつ無駄にしないのよ」 【フィンランド紀行】北の暮らしの体現者、イレーネ・カンガスニエミ

長らくヘルシンキの美術教師として勤めたのち、夫とともに北極圏に位置するラップランド・オウナス川沿いのサーレンキュラ地区で伝統工芸の工房を営むイレーネ・カンガスニエミさん。夏には森で何百キロものベリーを摘み、トナカイやムース(ヘラジカ)、魚の肉を加工して、冷蔵庫5台分に自家製の保存食を詰め込み、暗く長い冬に備えます。 「母なる大地は何ひとつ、無駄にはしないのよ」。あらゆる動植物と気候風土、先々まで見通す大自然の懐の深い考えに頷きながら、その恵みを余すことなく暮らしに使い切る。 北の暮らしの体現者です。

お茶作りの原理原則。「芯水」をいかにきれいに抜くか「和紅茶」 【熊本】 中田英寿のクラフト生産者を巡る旅#05 

和紅茶を目にする機会が増えました。いまや、緑茶と並行して紅茶づくりを手がける生産者は珍しくありません。では、各地の和紅茶の担い手たちはどこを見据え、どんな味わいを探っているのでしょう。 熊本県芦北町の茶園「お茶のカジハラ」梶原敏弘さんは、釜炒り茶で培った技術をもとに、2009年に紅茶製造の試作を始め、2022年ロンドンの国際コンテストでベストインショーを受賞しました。萎凋の温度調整、乾燥の段階的な水抜きといった細やかな工程、そしてもっとも重視するのは茶葉の状態を五感で感じ取る、作り手の感覚です。 梶原さんのもとを、中田英寿さんが訪ねました。

緻密な果肉、ふくよかな香り。山梨・大藤流仕立ての大玉の桃を訪ねて 早川宏 ×「LESS」<パティシエ編>

桃王国・山梨の中でも、粒揃いの大玉と極上の甘さで知られるブランド産地、甲州市塩山の大藤地区。この地で3代続く桃農家を営む早川宏さんを訪ねたのは、東京・恵比寿のペストリーショップ「LESS by Gabriele Riva & Kanako Sakakura」パティシエの坂倉加奈子さんです。 旬のフルーツを繊細に生かす坂倉さんが出会ったのは、主枝4本・弱剪定という独自の“大藤流仕立て”で育てられた、とびきり甘い大玉の桃たち。ぎゅっと濃密に締まった果肉から生まれる、さっくりとした歯ざわりの食感が、坂倉さんの創作意欲に火をつけました。

花は早く収穫は遅く。山梨・一宮の樹上完熟の桃を訪ねて  久津間紀道 ×「CYCLE」<料理人編>

肌を刺すような強い日差しが降り注ぐ夏のある日、念願だった桃農園に向かったのは、東京・大手町のフレンチ「CYCLE by Mauro Colagreco」ヘッドシェフ宮本悠平さんです。迎えたのは、山梨県笛吹市、桃界の巨匠と呼ばれる久津間紀道さん。 宮本シェフには、昨夏の終わりに考案した桃を使ったみずみずしい一皿があります。 ただ、仕入れる桃ごとに味が違い、仕上がりの味も違う。一口に「桃」といっても、日によって、香りや味、食感(硬さ)、そして形が微妙に異なることに「?」と首をかしげてきたと言います。 まだまだ知られていない桃の世界。そのナゾをこの際、解き明かします。

カリッと揚げたヒヨコ豆のコロッケが主役「ファラフェルサンド」 フェーズフリーな食材レシピ:ヒヨコ豆

乾物や缶詰など常温で長期保存できる食材は、備蓄食品にも向く優れもの。普段の食事にも取り入れることで、「いざという時に賞味期限が切れていた」「食べ慣れない味で食が進まない」という問題も避けられます。「いつも」と「もしも」をつなぐフェーズフリー*な食材を、おいしく活用するレシピ。今回はヒヨコ豆のコロッケを具にした「ファラフェルサンド」を教わります。 *フェーズフリー(Phase Free)は、防災の専門家として活動を続けてきた佐藤唯行氏が2014年に提唱した考え方。